自工会リリース


自工会のシュレッダーダスト処理実証実験装置の竣工について

1998年6月1日

(社)日本自動車工業会(辻義文会長)は、本日(6月1日)、シュレッダーダストの有効利用に関する技術開発事業の一環として、かねてより(財)日本自動車研究所(茨城県つくば市)に建設中のシュレッダーダスト乾留ガス化実証実験装置を完成したため、関係者が集まって竣工式を行った。これは昨年同所に竣工したシュレッダーダスト減容・固化実証実験装置に接続される装置であり、これによりシュレッダーダストの一貫処理実証実験装置が完成したことになる。

使用済み自動車をはじめ、家電製品、自動販売機等、鉄、非鉄等の金属部品を含む使用済み製品から、金属を回収する際に発生するシュレッダーダスト(樹脂類、ゴム、ガラス、繊維類、鉄、非鉄等で構成される)は、年間約100〜120万トンに上るが、現在、そのほとんどが管理型産廃処分場に埋め立て処分されている。

現在、シュレッダーダストの埋め立て処分を巡っては、産廃処分場の新規立地が全国的に困難になっており、埋め立て処分場の逼迫,処分コストの高騰、輸送費の負担増などによる不法投棄の増大が懸念されることから、当会では,平成8年度より4カ年計画でシュレッダーダストの有効利用ならびに減容を目的とする技術の開発を行ってきた。

当会の技術開発は、シュレッダーダストを構成する物質の約4分の3が樹脂等、可燃性物質であることに着目し、熱処理による可燃性ガスの回収〜熱エネルギーの利用を目的としている。 工程としては、シュレッダーダストを更に分別して不燃物を分離し、減容・固化機で固化・整形した後、今回竣工した乾留ガス化炉で熱処理し、可燃ガスを回収するものであるが、これにより、シュレッダーダストを重量比で3分の1、体積比で5分の1にすることが可能になる。
なお、竣工した乾留ガス化装置は毎時1トンのダスト処理能力を持つ。

現在、可燃性物質を含む廃棄物の処理方法として各種の熱回収システムが開発されており、一部には実用化されたものもあるが、シュレッダーダストの場合、構成要素が多岐にわたるほか、重金属など有害物質が含まれること等から、専用のシステム開発が急がれてきた。

当会では、比較的少量のシュレッダーダスト処理に適したバッチ式乾留ガス化技術の確立を目指しており、シュレッダー事業者あるいは小規模の廃棄物処理事業者等の操業に適した装置開発を狙いとしている。今後は、今回竣工した装置を含む全システムにより、ダイオキシンなど有害物質の発生防止等の環境対策、乾留残渣の有効利用、事業化の可能性等を主なテーマとした研究を続け、研究成果を広く公表し、装置の普及を図っていく。

    発表内容、見学等に関する問い合わせ先:

      (社)日本自動車工業会 環境部(担当:原田、齋藤)

        電話: 03-5219-6657、 fax : 03-3287-2073

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