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マニュアル・トランスミッション車の始動時の誤操作防止について
(クラッチ・スタートシステムの取扱い)
(社)日本自動車工業会は、マニュアル・トランスミッション車における始動時の誤操作による誤発進を防止する観点から「クラッチ・スタートシステム」を、今後生産される対象車に各社順次採用して行くことを決定した。その概要は以下の通り。
尚、本件については運輸省からの検討依頼に基づく対応であることから、運輸省に対し報告を行っている。
1.背景自動車を取り巻く環境の変化とその対応
近年、マニュアル・トランスミッション車(以下マニュアル車)は、オートマチック・トランスミッション車(以下オートマチック車)の操作の容易性やオートマチック車専用免許の実施等による急速な普及の進展により、相対的に少数派となりつつある。
その結果、マニュアル車の操作に不慣れになってしまった運転者/免許保有者が増加し続けていると考えられる。
この様な状況の中、これらのユーザーが誤った方法でマニュアル車のエンジン始動を行い、自動車を誤って発進させてしまうという可能性が高まると考えられる為、始動時の誤操作を防止する観点から「クラッチ・スタートシステム」を採用することとした。
〈ご参考〉
*正しいマニュアル車の始動操作
- 正しく運転席に座る
- パーキングブレーキが確実に引かれていることを確認する
- クラッチペダルを踏んだ状態にしてギヤをニュートラル位置にする
- エンジンを始動する
*乗用車におけるマニュアル車/オートマチック車の販売台数比率
<出所:(社)日本自動車販売協会連合会>
年
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総販売台数
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AT車販売台数
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AT車比率
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MT車比率
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1985
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2,892,894
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1,411,094
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48.8%
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51.2%
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1990
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4,085,005
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2,962,510
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72.5%
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27.5%
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1995
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3,181,286
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2,569,253
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80.8%
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19.2%
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1996
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3,317,955
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2,792,197
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84.2%
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15.8%
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2.具体的対応内容
1)採用システム
- クラッチペダルを踏んでいる時だけ、エンジンが始動できる機構(クラッチ・スタートシステム)をマニュアル車に採用する。
- クラッチ・スタートシステムとは、現状のエンジン始動回路上にクラッチスイッチを追加したものであり、クラッチペダルを踏まずにイグニッションキーをエンジンスタート位置まで回しても、セルモーターに通電させないシステムである。
クラッチ・スタートシステム概要図(一例)
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2)対象範囲
- 乗用車(軽自動車を含む)
- 積載量2トン未満のトラック なお、積載量が2トン以上のトラックから派生した積載量2トン未満のトラックは対象としない。
- 但し、特種自動車等への適用除外を認める。 また高所作業車、チルトキャブのサブスタータ等の機能の確保を考慮して、クラッチ・スタートシステムと同等の機能を有する他のシステムでの代用または、クラッチ・スタートシステムの解除機構の採用も認める。
3)実施方法/時期
- 今後生産される対象車に順次採用して行く計画である。
- 平成11年から対象車に順次採用を開始し、平成14年にはすべての対象車に採用する見通しである。
3.適正使用方法の徹底
- 自動車各社は実施車の「取扱い説明書」にマニュアル車の始動時操作上の注意喚起の内容およびクラッチ・スタートシステムの使用上の注意点を追記する。
- 自工会として「パンフレット等による啓発活動」を実施する。
- 自動車各社は実施車をユーザへ納車する際、「販社セールスマンからの説明実施の徹底」を図る。
- マニュアル車の誤発進による事故の防止について警察庁にご指導をお願いする。
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