(社)日本自動車工業会(JAMA)は、この度、米国自動車工業会(AAMA)、欧州自動車工業会(ACEA)および米国エンジン製造者協会(EMA)と共同して「The World-Wide Fuel Charter」(世界規模の燃料品質に関する提言、以下WWFC)を取りまとめた。
近年の研究結果により、燃料品質が自動車排出ガスに大きな影響を与えることが明らかになってきたことから、これまで各団体と共同して、燃料品質の向上と世界的調和に向けた議論を重ねてきた。
その結果を、昨年6月4日に「The Proposed World-Wide Fuel Charter」として発表したが、その後、内外から寄せられた40近いコメントのすべてを詳細に検討し、今回ここにWWFCの最終版として提案するものである。
主な修正点は次の通り。
- ガソリンのリード蒸気圧については、エバポエミッション(燃料蒸気)への対応要求のため低減した。
- 軽油のセタン指数におけるカテゴリー3については、製造上の問題ありとのコメントを受け、緩和。カテゴリー1については、全体のバランスを考慮し、変更した。
- 軽油の芳香族炭化水素におけるカテゴリー3については、現実的ではないとのコメントを受け、緩和した。
今後、本提言に基づき、燃料品質の改善を進めるよう多くの関係者と相談していく所存である。
また、将来の環境問題やエネルギー問題に対して、さらなる対策が必要となる場合には、自動車メーカーとしての自動車技術革新とともに、あらたなカテゴリーの追加も検討していく必要がある。
なお、WWFCは、カナダ、中国、韓国、南アメリカの自工会からも賛同頂いている。
主な燃料性状項目の要望値は別添の通り。
〈主な燃料性状項目の要望値〉
ガソリン
項目
|
単位
|
Category1
|
Category2
|
Category3
|
[参考]JIS規格
|
Min.
|
Max.
|
Min.
|
Max.
|
Min.
|
Max.
|
Min.
|
Max.
|
オクタン価
(リサーチ法) |
|
91
|
―
|
91
|
―
|
91
|
―
|
89
|
―
|
硫黄分 |
ppm
|
―
|
1000
|
―
|
200
|
―
|
30
|
―
|
100
|
ベンゼン |
%v/v
|
―
|
5.0
|
―
|
2.5
|
―
|
1.0
|
―
|
5.0
|
リード蒸気圧
(夏季用) |
kPa
|
45
*55
|
60
*70
|
45
*55
|
60
*70
|
45
*55
|
60
*70
|
44
|
78
|
50%留出温度 |
℃
|
77
|
110
|
77
|
100
|
77
|
100
|
75
|
110
|
(太字斜体部分はドラフトから変更されたもの。*はドラフト値)
軽油
項目
|
単位
|
Category1
|
Category2
|
Category3
|
[参考]JIS規格
|
Min.
|
Max.
|
Min.
|
Max.
|
Min.
|
Max.
|
Min.
|
Max.
|
セタン指数 |
|
45 *46
|
―
|
50
|
―
|
52 *54
|
―
|
45
|
―
|
密度 |
kg/m3
|
820
|
860
|
820
|
850
|
820
|
840
|
―
|
―
|
硫黄分 |
ppm
|
―
|
5000
|
―
|
300
|
―
|
30
|
―
|
500
|
芳香族
炭化水素 |
%m/m
|
―
|
―
|
―
|
25
|
―
|
15 *10
|
―
|
―
|
90%留出温度 |
℃
|
―
|
―
|
―
|
340
|
―
|
320
|
―
|
350
|
(太字斜体部分はドラフトから変更されたもの。*はドラフト値)
*カテゴリー1:排出ガス規制があまり厳しくなく、車両/エンジンの基本的な性能を保証するために必要な燃料。
*カテゴリー2:現状の排出ガス規制に対応するために必要な燃料。
*カテゴリー3:現状の排出ガス規制が更に厳しくなった場合に必要な燃料。 |