ニュースリリース

2018年度普通トラック市場動向調査について

一般社団法人 日本自動車工業会(会長:豊田 章男)は、2018年度に実施した『普通トラック市場動向調査』の結果をまとめました。

この調査は、普通トラックの保有・購入・使用実態、輸送ニーズの変化と対応や、物流を取巻く市場環境の変化を時系列的に捉え、隔年でアンケートを実施しているものです。
今回はユーザー・荷主双方の視点により実施し、また以下の把握も併せて行いました。

  1. ドライバー不足に関する意識・意向
  2. 自動走行・隊列走行へのユーザー・荷主の期待と不安
  3. 安全に対する意識
  4. 運輸業者から荷主への要望と対応

調査結果の主な特徴は以下のとおりです。

  • 経営状況
    2018年度は経営状況の好転が進み、運輸業・自家用では稼働率上昇。
    一方、荷主では今後の見通し悪化懸念等、不安材料も抱える。
  • 需要動向
    国内全体の輸送総量の減少傾向に歯止め。運輸業では大規模事業所、経営が好調な事業所での購入意向は高い。
  • ドライバー不足に関する意識・意向
    ドライバー不足が進行し、特に大型免許保有者の不足が顕著という厳しい状況下だが、ドライバー確保に向けて、労働時間・待遇面等改善の取り組みは強化されている。
  • 自動走行・隊列走行へのユーザー・荷主の期待と不安
    期待する点として、運輸業ではドライバー不足の解消、事故の減少が多く挙がる。
    一方、運輸業・自家用・荷主いずれも、事故時等の責任所在の明確化が共通の課題。
  • 安全に対する意識
    ドライブレコーダーの使用率が上昇し、今後の設置意向も各種サポート機器の中で最も高い。
    運輸業では乗務前の点検・確認を重視し、アルコール・インターロックの需要も高い。自家用では、各種機器のサポートによる安全対策が増加。
  • 運輸業者から荷主への要望と対応
    運輸業者からは、荷待ち時間削減をはじめとする時間面での要望が強まっている一方、荷主側の対応は追いつかず、厳しい状況。

報告書は一般向けに配布するとともに、当会ホームページにも掲載します。

以上

ご参考

1.調査実施概要

  ユーザー調査
調査地域 全国
調査対象 普通トラック保有事業所(軽・小型トラック併有事業所を含む)
調査方法 郵送法
サンプリング 運輸業 建設業、製造業、卸・小売業
企業・事業所リストより運輸業
該当企業としてランダムに抽出
普通トラック保有企業リストより抽出
有効回収数

746サンプル

353サンプル

調査実施期間

2018年8月下旬~10月上旬

  荷主調査
調査地域 全国
調査対象 建設業、製造業、卸・小売業
調査方法 郵送法
サンプリング 従業員100人以上の事務所をランダム抽出
有効回収数 294サンプル
調査実施期間 2018年8月下旬~10月上旬

2.調査結果概要

[経営状況]
  • 2018年度は経営状況の好転が進み、運輸業・自家用では稼働率上昇。
    一方、荷主では今後の見通し悪化懸念等、不安材料も抱える。
    • 調査結果からは、運輸業・自家用・荷主ともに前回(2016年度)よりさらに経営状況に明るさがみえ、『好転』が『悪化』を上回っている。
    • 運輸業・自家用では、荷扱量水準、運行回数がともに増加傾向にあり、稼働率が上昇していると推察される。
    • 荷主では、最近の経営状況を「良くなっている」と実感する割合が前回より大きく増加したが、2年後の経営見通しは『悪化』と回答する割合が高く、今後は厳しい状況が見込まれる。
      また、最近の好調の要因としては、「景気の好転」や「得意先の業績進展」などの外部要因を挙げる割合が高い。一方で、内部要因ともいえる「得意先の開拓」は低下しており、先行きの不安感が残る。不調の要因としては、「人件費の増加」「原材料価格の上昇」「輸送経費の増加」等が前回より大きく増加し、コスト面の課題を懸念する企業が多い。
[需要動向]
  • 国内全体の輸送総量の減少傾向に歯止め。運輸業では大規模事業所、経営が好調な事業所での購入意向は高い。
    • 国土交通省の交通関連統計資料および自動車輸送統計調査年報によると、国内貨物の輸送量については、輸送トン数、輸送トンキロともに、2015年から2016年にかけて増加し、しばらく続いていた減少傾向にいったん歯止めがかかった。
    • 輸送トンキロ数構成比では、営業用トラックの比率は10年間で8ポイント減少して4割半ば。
    • また、普通トラックの新車登録台数は、今回、全体では減少傾向に転じたが、10トンクラスは増加傾向が続き、過去10年間で最も多い。普通トラック保有台数は、2012年を底に引き続き増加傾向。
    • 調査結果によると、運輸業の事業所におけるトラック保有台数の増減は、過去2年間では「増加」が「減少」を上回った。5年後の保有意向についても「増加」が「減少」を大きく上回る。大規模事業所や経営状況が好転した事業所では、よりその傾向が強く表れており、購入意向の高さがうかがえる。

       注:新車需要および新車登録台数は、暦年(1月~12月)の台数について表記

[ドライバー不足に関する意識・意向]
  • ドライバー不足が進行し、特に大型免許保有者の不足が顕著という厳しい状況下だが、ドライバー確保に向けて、労働時間・待遇面等改善の取り組みは強化されている。
    • 調査結果からは、運輸業におけるドライバー不足が顕著になり、5年後にはさらなる状況の悪化が懸念されている。そのうち需要の高い大型免許の保有者については、今後も確保することが難しくなりつつある見通しである。
    • 運輸業では今後実施したい人材活用施策として、「女性ドライバーの活用」が2割半ばとなっているものの前回と同水準、「外国人ドライバーの活用」は現状では1割程度にとどまり、大きな動きには至っていない。
    • 荷主側でも、委託先運輸業者のドライバー不足を感じる割合が年々増加しており、今回は約6割に達している。その理由として、「若年ドライバーが少ない」「仕事を頼めないことがあった」、さらに「値上げの要求をされた」等が挙がっている。
    • このような厳しい状況下ではあるが、昨今の働き方改革の流れに沿うように、運輸業でも「労働時間の適正化」「休暇制度の充実」の取り組み割合が伸びている。
      また、「給与の引き上げ」「資格取得の支援」等の待遇面改善対応も進み、ドライバー確保のための取り組みは年々強化されている。
[自動走行・隊列走行へのユーザー・荷主の期待と不安]
  • 期待する点として、運輸業ではドライバー不足の解消、事故の減少が多く挙がる。
    一方、運輸業・自家用・荷主いずれも、事故時等の責任所在の明確化が共通の課題。
    • 運輸業における自動運転走行機能・隊列走行のメリットでは、「ドライバー不足の解消」が最も多く、「事故の減少」の割合も高い。自家用でもこの2項目が高く、荷主調査でも同様の傾向。
      「ドライバー不足の解消」は、運輸業・自家用では前回と比べて伸びがみられ、より大きなメリットとして認識されるようになった。
    • 一方、不安点としては、運輸業・自家用では「故障・事故発生時の責任の所在が曖昧」、荷主では「事故による積荷破損時の責任の所在」が上位に挙がり、万一の際の責任の所在の明確化が三者共通の課題となっている状況。
[安全に対する意識]
  • ドライブレコーダーの使用率が上昇し、今後の設置意向も各種サポート機器の中で最も高い。運輸業では乗務前の点検・確認を重視し、アルコール・インターロックの需要も高い。自家用では、各種機器のサポートによる安全対策が増加。
    • 安全対策については、運輸業では「乗務前の酒気帯び運転の確認」「乗務前の対面点呼」等が引き続き上位。自家用では「各種機器によるサポート」が前回より増加。
    • サポート機器は、運輸業・自家用ともに「バックアイカメラ」「ドライブレコーダー」の使用率が高い。特に「ドライブレコーダー」は前回より大きく増加し、今後の設置意向も各種サポート機器の中で最も高い。今後のニーズとしては、運輸業では「車間距離警報装置」「アルコール・インターロック」も高い。
    • 荷主でも「ドライブレコーダー」は9割近く、「バックアイカメラ」も7割強と前回からさらに認知が進んでいる。
[運輸業者から荷主への要望と対応]
  • 運輸業者からは、荷待ち時間削減をはじめとする時間面での要望が強まっている一方、荷主側の対応は追いつかず、厳しい状況。
    • 運輸業者から荷主に対する要望は、トップに挙がった「荷待ち時間を削減してほしい」(4割強)が前回を12ポイント上回るほか、時間的な余裕を持った発注・連絡に関する事項などをはじめ、多くの項目で前回より要望率が増加している。
    • また、荷主側の対応率は時間関連の項目で増加しているものの、運輸業者の要望率には追いついていない様子が見受けられ、運輸業者にとっては厳しい状況が続いている。

以上

資料
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