ニュースリリース

2018年度小型・軽トラック市場動向調査について

一般社団法人 日本自動車工業会(会長:豊田 章男)は、2018年度に実施した『小型・軽トラック市場動向調査』の結果をまとめました。

この調査は、小型・軽トラックユーザーの保有・購入・使用実態などを時系列的に捉え市場構造の変化を把握するためにアンケートを隔年で実施しているものであり、今回は以下の点の把握も行ないました。

  1. 環境意識と次世代環境車
  2. 安全意識と先進安全技術
  3. 小口配送の現状と課題
  4. 運転手不足の現状と課題
  5. 農家におけるトラック・バン

調査結果の主な特徴は以下のとおりです。

  • 保有状況と変化の背景
    • 小型・軽トラック・バン全体の保有台数は減少傾向が継続するも、下がり幅が縮小。
      車種別にみると、小型・軽トラック及び軽ボンバンの減少傾向は継続。小型バンは2015年以降ほぼ横ばい、軽キャブバンは伸長傾向が継続。
    • 最近1~2年間のトラック・バン保有台数は、運輸業以外、運輸業ともに「保有増」事業所が「保有減」事業所を上回る。
  • 需要構造の実態
    • 小型・軽トラック・バン全体の需要台数は、保有期間短期化の動きも見られ、リーマンショック前の2008年、消費税率引き上げ時の2014年と同水準。2015年以降、小型トラック・バンは横ばい、軽トラック・バンは増加。
  • 使用実態
    • 使用用途では小型バン、軽トラックで「最終消費者への配達・集荷」が低下。
    • 使用用途の変化に伴い、小型バンでは短距離化、往復型運行形態が上昇。一方、軽トラックでは往復型運行形態が低下。
  • 今後の購入・保有意向
    • 次期買い替え意向車は同タイプ・同クラス歩留まり意向率が高い傾向に変化はない。
    • 小型に比べ、軽は歩留まり意向率がやや低い。
    • 今後1~2年間の保有増減意向をみると、運輸業以外ではほとんどの事業所で変わらない見通し。
      運輸業では約2割が増加意向、東京オリンピック閉幕後は約1割が減少意向。
    • 消費税率引き上げは、4割強の事業所に影響。影響のある事業所のうち4割強で購入時期前倒しの意向あり。
  • 環境意識と次世代環境車
    • 次世代環境車の中では、「ハイブリッド車」に対する購入意向が最も高い中、小型キャブバンでは「電気自動車」の購入意向が上昇
  • 安全意識と先進安全技術
    • 各先進安全技術の有償装着意向は運輸業以外では3割超、運輸業では5割超。コスト負担を考慮しなければ、5割以上が自動運転技術へ期待
  • 小口配送の現状と課題
    • 配送料値上げ後も運輸業以外では外注化が進行。委託荷増に対応した運輸業における輸送効率化推進が課題
  • 運転手不足の現状と課題
    • 運輸業では運転手不足困窮度が深刻化。運転手採用は進んでおらず、給与水準の引き上げや、高齢者や女性運転手に配慮した働き方(勤務時間や業務分担など)改革の推進が課題
  • 農家におけるトラック・バン
    • 3割強が規模縮小・廃業予定。うち約3割が保有減もしくは保有中止

報告書は一般向けに配布するとともに、当会ホームページにも掲載します。
自工会ウェブサイト http://www.jama.or.jp/

以上

ご参考

1.調査実施概要

  ユーザー調査 事業所調査
調査地域 全国 東京周辺50キロ圏および大阪市・
名古屋市各30キロ圏
調査対象 小型・軽トラック保有ユーザー 従業員数5人以上の事業所
調査方法 訪問留置調査法 訪問留置調査法
有効回収数 1,276サンプル 759サンプル
調査実施期間 2018年8月9日~9月21日 2018年8月9日~10月12日

2.調査結果概要

1)時系列分析
[総括]
  • 保有台数は軽キャブバン増加、小型バン下げ止まり、小型・軽トラック、軽ボンバン減少。
    バン主体の運輸業以外事業所では、経営状態は好調を維持。物資輸送量は増加。「保有増」事業所では自社輸送が増加。
    一方、トラック主体の運輸業では委託荷の増加により輸送量が増加したものの、燃料価格上昇、人件費増加により経営状態に影響。運転手不足深刻化も影響し、保有増にならず。
  • 小型・軽トラック・バン全体の需要は、リーマンショック前の2008年、消費税率引き上げ時の2014年と同水準。
    「経営好調」事業所では、税金対策及び消費税率引き上げ前の駆け込みで、時期を前倒して購入。また、車検・リースアップ時期での定期買い替えが増えることで、保有期間が短縮化。
    車種別では、小型から軽へのダウンサイジング、軽歩留まり率増加と軽シフトの動き。
  • 今後1~2年間の保有意向は、運輸業以外事業所では数年先の経営状態も影響するため、東京オリンピック閉幕後の経営状態悪化を懸念し、保有増の動きなし。
    一方、足元の経営状態が影響する運輸業では、今後1~2年間では貨物輸送量増加を背景に保有増の動きがあるものの、東京オリンピック閉幕後は保有減に転じる可能性あり。
[保有状況と変化の背景]
  • 小型・軽トラック・バン全体の保有台数は減少傾向が継続するも、下がり幅が縮小。
    車種別にみると、小型・軽トラック及び軽ボンバンの減少傾向は継続。小型バンは2015年以降ほぼ横ばい、軽キャブバンは伸長傾向が継続。
  • 最近1~2年間のトラック・バン保有台数は、運輸業以外、運輸業ともに「保有増」事業所が「保有減」事業所を上回る。
  • <保有変化の背景>
    • バン主体の運輸業以外の事業所では、経営状態は前回(2016年度調査)の好調を維持。物資輸送量は増加。「保有増」事業所では、自社輸送が増加。
      トラック主体の運輸業では、物資輸送量は増加したものの運転手不足が更に深刻化。車の稼働や増車に影響しており、保有台数増加の阻害要因。また、燃料価格の上昇や人件費増加が経営状態に影響。
[需要構造の実態]
  • 小型・軽トラック・バン全体の需要台数は、保有期間短期化の動きも見られ、リーマンショック前の2008年、消費税率引き上げ時の2014年と同水準。2015年以降、小型トラック・バンは横ばい、軽トラック・バンは増加。
  • <需要動向の背景>
    • 最近2年間に代替した事業所における前保有車の保有期間は、小型・軽ともに短期保有代替層比率が上昇し、購入時期を早めた事業所が遅らせた事業所を上回る。
      また、小型から軽へのダウンサイジングが進行、軽歩留まり(軽から軽へ)も上昇しており、軽需要増加の要因と思われる。
[使用実態]
  • 使用用途では小型バン、軽トラックで「最終消費者への配達・集荷」が低下。
  • 使用用途の変化に伴い、小型バンでは短距離化、往復型運行形態が上昇。一方、軽トラックでは往復型運行形態が低下。
  • <使用変化の背景>
    • 小型バンは、配送業務が減少し、短距離・往復型中心の「仕事場・現場輸送」の比重が高まることで、走行距離に影響。
[今後の購入・保有意向]
  • 次期買い替え意向車は、同タイプ・同クラス歩留まり意向率が高い傾向に変化はない。
  • 小型に比べ、軽は歩留まり意向率がやや低い。
  • 今後1~2年間の保有増減意向をみると、運輸業以外ではほとんどの事業所で変わらない見通し。運輸業では約2割が増加意向、東京オリンピック閉幕後は約1割が減少意向。
  • 消費税率引き上げは、4割強の事業所に影響。影響のある事業所のうち4割強で購入時期前倒しの意向あり。
  • <今後の保有増減の背景>
    • 運輸業以外では、今後1~2年間の景気、経営状態の見通しともに好調とみる事業所が、不調とみる事業所を上回る。また、物資輸送量も増加する見通しの事業所が多いものの、東京オリンピック閉幕後の経営状態悪化を懸念し、保有増に至らず。運輸業は、経営状態に合わせ保有を増減。
2)トピック分析
[環境意識と次世代環境車]
  • 次世代環境車の中では、「ハイブリッド車」に対する購入意向が最も高い中、小型キャブバンでは「電気自動車」の購入意向が上昇
    • 環境対策費用に負担を感じている事業所は、約7割と高いが低下傾向。
    • 次世代環境車の中では、「ハイブリッド車」に対する購入意向が最も高い傾向は変わらず。
      小型キャブバンでは「電気自動車」の購入意向が上昇。
    • 次世代環境車に対しては、技術的不安よりも車両価格を懸念しているものの、どの次世代環境車も約8割は10万円までであれば追加支払いを許容。
    • 「電気自動車」について、9割以上が許容する走行距離は201km以上、充電完了時間は30分以内。
[安全意識と先進安全技術]
  • 各先進安全技術の有償装着意向は運輸業以外では3割超、運輸業では5割超。コスト負担を考慮しなければ、5割以上が自動運転技術へ期待
    • 安全性に対して約8割が関心を持ち、約7割が購入時に重視。運輸業で関心度・重視度が高い。
    • 装着意向が最も高い先進安全技術は「歩行者の検知・保護支援システム」。
    • 5割以上が自動運転技術へ期待。現時点での自動運転車導入意向は1割程度。
    • 運輸業で今後利用したいコネクティッド機能の上位は「車両の故障予知管理」「車両点検管理」「車両位置確認システム」「ルート最適化管理」。
[小口配送の現状と課題]
  • 配送料値上げ後も運輸業以外では外注化が進行。委託荷増に対応した運輸業における輸送効率化推進が課題
    • 定期・不定期ともに、軽量・小口荷物が増加している事業所は約2割。
    • 輸送手段としては、運輸業以外は「宅配便等の外注」、運輸業は「自社の車」が最も多い。
    • 配送料値上げに対する利用者の対応策は、「より安価な宅配会社への切り替え」「既存委託先との取引内容改善」。
    • 運輸業では約5割の事業所が輸送効率化策を実施していない。
[運転手不足の現状と課題]
  • 運輸業では運転手不足困窮度が深刻化。運転手採用は進んでおらず、給与水準の引き上げや、高齢者や女性運転手に配慮した働き方(勤務時間や業務分担など)改革の推進が課題
    • 運輸業での運転手不足はより深刻化。
    • 運輸業は30~50代男性運転手の採用を求めているものの、現状では60代以上男性の採用率が高く、採用上の障害点として「長期勤続ができるか不安」「荷役作業が困難」「長時間運転や労働等が不安」があがる。
    • 運転手採用対策として「健康診断受診の徹底」「安全対策の徹底」「ドライバー同士が互いに教え合える風土の醸成」に取り組む事業所が多い。
[農家におけるトラック・バン]
  • 3割強が規模縮小・廃業予定。うち約3割が保有減もしくは保有中止
    • 販売農家は減少傾向が継続する一方、農地所有適格法人数は増加傾向。3割強の農家が規模縮小もしくは廃業の意向。
    • 現保有車、次期意向車ともに軽トラックが最も多い。
    • 消費地への輸送方法は、自家出荷が中心という傾向は変わらず。

以上

資料
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