ニュースリリース

2021年度乗用車市場動向調査について

一般社団法人日本自動車工業会(会長:豊田 章男)は、2021年度に実施した乗用車市場動向調査の結果を取りまとめました。
本調査は、単身世帯を含む全国の一般世帯における乗用車の保有、今後の購入意向などを隔年毎に調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするものとなります。
今年度は、これまで同様に保有状況・使用実態・今後の購入意向等とともに次世代自動車・先進安全技術・次世代技術について時系列での動きを捉えています。また、トピックとして高齢層・若年層の世代特性把握、車関連サービス、車関連費用に加え、新たに新型コロナ感染拡大による生活変化・自動車保有への影響について注目しました。

I.時系列調査結果の主な特徴

  1. 乗用車市場動向
    • 乗用車世帯保有率は77.9%。地方圏中都市以下、家族形成期~成熟期で保有率が高い。
    • 軽乗用車の保有が3割強を占め最も高く、首都圏より地方圏で高い。ハイブリッド等の次世代エンジンが2割弱を占め増加傾向が継続。
    • 非保有理由は維持費負担が上位。今後の購入意向は低水準。
  2. 乗用車ユーザーの特性と使用状況
    • 女性主運転者比率はほぼ半数を占め、高齢層が前回より増加。
    • 「買物・用足し・他」中心の使用。維持費は6割弱が負担を感じている。
  3. 購入状況
    • 同タイプ・クラスからの買い替えが中心。
    • 保有期間は平均7.1年で、10年超が2割強を占める。
  4. 今後の保有・購入動向
    • 減車意向・保有長期化意向が高い状況が継続。
    • 同クラス意向が高い傾向が継続。次世代エンジン意向は5割弱で前回より増加。特に電気(EV)で増加率が高い。

II.トピック調査結果の主な特徴

  1. 新型コロナウィルス感染拡大の影響
    • 移動手段として公共交通機関より第三者接触を回避できる自家用車へのシフトが見られる。生活変化では「外向きの生活」が減少。不要・不急の外出を自粛したことで、「長距離移動を伴う外出」が大幅減。
  2. 次世代自動車への意識
    • 「電気自動車(EV)」の購入意向層は約3割で増加傾向。懸念点は車両価格に加え、「充電時間」「航続距離」「充電施設の場所や数」「バッテリーの耐用年数」 。
    • 電動自動車(EV・PHV)保有層において「燃料費」「静粛性」に対する期待と満足度は合致。一方、懸念点は「充電時間」「航続距離」「車体価格」「バッテリー耐久年数」が高い。カーボンニュートラル宣言の認知により、EV・PHVユーザー共に「電気自動車(EV)」の購入意向が増加。
    • 電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)保有者の環境問題及びカーボンニュートラル認知は高く、国や自動車業界に対する実現に向けての取組要望も高い。
  3. 先進安全技術車に対する意識
    • 高齢者事故報道の影響もあり、運転手の運転ミスをカバーする安全技術への要望が高い。
  4. 次世代技術に対する意識
    • 自動運転車関心層は5割弱。「レベル3(条件付運転自動化)以上」を望む人が4割強。
    • 利用意向の高いサービス・機能は「盗難防止/盗難時通報サービス」「ナビ地図データの自動更新」「エアバック機能作動時の緊急サービス」「車両制御機能の自動アップデート」。
  5. 保有形態に対する意識
    • インフラ整備が進んでいる首都圏中心部に近いほど「カーシェア」の利用意向が高い。「サブスクリプション」利用意向者はまだほとんどいない段階。
  6. 自動車に支払える費用
    • 生活の支出に占める車関連出費は約2割が負担を感じており、2割弱が今後減らしたいと感じている。年間維持費が40万円以内の人は、5割以上の人が10万円程度は削減したい意向。
  7. 高齢層分析
    • 4割弱は毎日運転しており、まだまだ運転意欲あり。身体的衰えを「先進安全技術」でカバーしたいと考えている。7割強は次も車を購入する予定。
  8. 若年層分析
    • 車を積極的に持つ理由は低いものの、車の使用価値は認識しており、「カーシェア利用意向」等使用ニーズはあり。ただし、コロナ感染拡大により外出機会、特に長距離移動を伴う外出が減少。

なお、上記の特徴ならびに詳細については、報告書をご参照ください。
報告書は、当会ホームページにも掲載します。

以上

ご参考

2021年度乗用車市場動向調査の概要

1. 調査設計

※トピック「若年層分析」「次世代自動車分析」にあたって、WEB調査を追加実施。
「次世代自動車分析」は更に回答者に対しインタビュー調査を実施。
調査地域 全国
調査対象 単身世帯を含む一般世帯
対象回答者 自動車保有世帯では直近購入車の主運転者
非保有世帯では運転免許保有者または家計の中心者
標本抽出方法 層化二段抽出法
調査方法 訪問面接、留置併用・WEB回答併用
調査実施時期 2021年10月1日~12月16日

2. 調査結果 総括

  • 近年の乗用車世帯保有率は8割前後で頭打ち。保有期間は平均7.1年で、10年超が2割強を占め長期化が継続。
  • 維持費は保有者の6割弱が負担を感じ、非保有理由としても維持費負担大が上位を占める傾向は変わっていない。
  • 新型コロナウィルス感染拡大の影響から公共交通機関より第三者接触を回避できる自家用車へと移動手段がシフト。
  • 保有車に占めるハイブリッド等次世代エンジンの増加が継続。今後の意向も増加。特に電気自動車(EV)で増加率が高い。
  • 電気自動車(EV)購入意向層の懸念点は車両価格に加え、充電時間・航続距離・充電施設の場所や数・バッテリーの耐用年数。
  • カーボンニュートラルは電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)保有者で認知が高く、国へは「充電・充填インフラの拡充・整備・規制緩和」、自動車業界へは「電動自動車普及に向けた技術開発」を希望。

3. 時系列調査結果

I.乗用車市場動向
1) 乗用車保有状況
●乗用車世帯保有率は77.9%。地方圏中都市以下、家族形成期~成熟期で保有率が高い。
  • 21年の乗用車世帯保有率は77.9%。乗用車複数保有率は34.5%。
  • 乗用車世帯保有率は地方圏中都市以下、家族形成期~成熟期は8割を超え高い。
  • 乗用車複数保有率は地方圏小都市以下、家族成熟期で4割を超え高い。
2) 車種タイプ・車型別保有率
●全体では軽乗用車の保有が3割強を占め最も高く、首都圏より地方圏で高い。ハイブリッド等の次世代エンジンが2割弱を占め増加傾向が継続。
  • 車型では、「軽乗用車」が3割強を占め、「ボンネットワゴン」が2割強で続く。
  • 排気量では、「660cc以下」が3割強。また、「ハイブリッド・その他」が2割弱を占め2013年より増加傾向が継続。
  • 「軽乗用車」は首都圏に比べ地方圏で高く。低年収層、家族成熟期~結晶期での保有率が高い。
  • 複数保有の組み合わせでは、軽乗用車・軽ボンネットバンとRV系の組み合わせ保有が最も高い傾向が続く。
3) 非保有とその理由
●非保有理由は維持費負担が上位。今後の購入意向は低水準。
  • 四輪自動車非保有世帯は全体の21%。首都圏中心部、低年収層、独身期および高齢期で高い傾向。
  • 現在非保有理由は、維持費負担が上位。保有中止世帯では高齢、病気、体力理由が高い。
  • 非保有世帯の今後の購入意向は5%。家族形成期で意向が24%と他と比べ高い。
II.乗用車ユーザーの特性と使用状況
1) ユーザー層の特性
●女性主運転者比率はほぼ半数を占め、高齢層が前回より増加。
  • 主運転者の世帯ライフステージは、高齢期が3割強を占め前回から増加。続柄は家計の中心者が約6割。
  • 主運転者における女性比率は5割弱。60歳以上の高齢層比率は約4割を占める。
2) 使用状況
●「買物・用足し・他」中心の使用。維持費は6割弱が負担を感じている。
  • 主使用用途は「買物・用足し・他」が4割強。一週間当り使用頻度は平均4.9日。
  • 月間走行距離は300㎞以下が6割弱。一日当り走行距離は平日と比べ休日が長い。
  • 維持費の「負担感大きい」計は57%。「車検代」は約8割、「任意保険料」「自動車税」「自動車重量税」は6割以上が負担を感じている。
III.購入状況
1) 購入形態と流入・流出構造
●同タイプ・クラスからの買い替えが中心。
  • 直近2年以内購入車でみると、新車→新車は5割弱。また、軽は軽買い替え(軽→軽)が増加傾向。
  • 現保有車の購入決定者は主運転者が74%。購入のきっかけは「手放した車が一定基準に達した」「手放した車の状態変化」といった前保有車の経年変化が上位。
2) 前保有車の保有期間
●保有期間は平均7.1年で、10年超が2割強を占める。
  • 前保有車の平均保有期間は7.1年、10年超の長期保有車は24%。また前保有新車では7.8年で、そのうち10年超の長期保有者が31%。
IV.今後の保有・購入動向
1) 保有意向と保有期間
●減車意向・保有長期化意向が継続。
  • 今後の買い替え予定は、「買い替える時期は未定」が6割強、「5年以内買い替え予定」は約2割。「保有をやめる予定」は1割強で、年収第1分位、高齢期では2割強。
  • 保有台数の意向は、減車意向が増車意向を上回る状況が継続。高齢期は約2割が減車意向。減車意向の理由は、身体的及び経済的要因のほか、使用頻度減少があがる。
  • 現保有車新車の保有予定期間は「7年超」が約7割。
2) 購入意向
●同クラス意向が高い傾向が継続。次世代エンジン意向は5割弱で前回より増加。特に電気(EV)で増加率が高い。
  • 今後の買い替え予定車はどの車種も同クラス意向が中心。特に軽で同クラス意向が73%と最も高い。
  • 車体サイズ意向では、「今の車と同じくらいの大きさ」が7割弱。「今の車より小さい車を買う予定」が2割。
  • 次世代エンジン(ハイブリッド+プラグインハイブリッド+電気+燃料電池)意向は48%と前回より増加。
    特に電気自動車(EV)は前回から約1割へと大きく増加。

4. トピック調査結果

1. 新型コロナウィルス感染拡大の影響
●移動手段として公共交通機関より第三者接触を回避できる自家用車へのシフトが見られる。生活変化では「外向きの生活」が減少。不要・不急の外出を自粛したことで、「長距離移動を伴う外出」が大幅減。
1年後に外出や移動状況がコロナ前の状態に戻るかどうかは見方が分かれている。
  • 移動手段は第三者接触を忌避し、「公共交通機関」から「自家用車」へシフト。
  • (新型コロナウィルス拡大前後での変化)
    • 「ネットショッピングの利用」「家族と過ごす時間・機会」が増加。
    • 「外食の時間・機会」「友人・知人と会う時間・機会」「長距離移動」が大きく減少。
      「日帰り旅行」「宿泊を伴う旅行」「アウトドア・レジャー」「ドライブ」「帰省」「休日」の外出頻度減少で、自家用車利用も減少。
  • (1年後の変化)
    • コロナ感染拡大で大幅に減少した「外向きの生活」や「長距離移動を伴う外出」はコロナ前までに戻ると考えている人とさらに減少すると考えている人が存在。
2. 次世代自動車への意識
1) 乗用車保有層全体の深堀
●「電気自動車(EV)」の購入意向層は約3割で増加傾向。懸念点は車両価格に加え、「充電時間」「航続距離」「充電施設の場所や数」「バッテリーの耐用年数」。
  • 認知は「ハイブリッド車(HV)」「電気自動車(EV)」が6割前後、他は3割弱程度。前回から大きな変化はない。
  • 「電気自動車(EV)」購入意向層は約3割で増加傾向。「ハイブリッド車(HV)」は4割強と最も高く、「プラグインハイブリッド車(PHV)」は2割強と前回から減少。
  • 各次世代車の懸念点は、車両価格に加え、電気自動車(EV)は「充電するのに時間がかかる」「1回の充電での走行距離が短い」「充電施設の場所や数」「バッテリーの耐用年数」。ハイブリッド車(HV)・プラグインハイブリッド車(PHV)は「バッテリーの耐用年数を考えると維持費面で不安」。燃料電池車(FCV)は「燃料供給施設・充電施設の場所や数が心配」。
2-1) 電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)保有層の深堀
●「電動自動車(EV・PHV保有層において「燃料費」「静粛性」に対する期待と満足度は合致。
一方、懸念点は「充電時間」「航続距離」「車体価格」「バッテリー耐久年数」が高い。カーボンニュートラル宣言の認知により、EV・PHVユーザー共に「電気自動車(EV)」の購入意向が増加。
  • 電動自動車(EV・PHV)への期待・現状満足点は「燃料費」「静粛性」。
  • 電動自動車(EV・PHV)の懸念点は「燃料補給・充電の時間」 「航続距離」「車体価格」「バッテリーの耐久年数」。
  • 次期購入意向エンジンタイプでは、同エンジンタイプ意向が高いが、カーボンニュートラル宣言の認知により、EV・PHVユーザー共に「電気自動車(EV)」の購入意向が増加。
2-2) カーボンニュートラルに対する意識
●電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)保有者の環境問題及びカーボンニュートラル認知は高く、国や自動車業界に対する実現に向けての取組要望も高い。
一方、懸念点は「充電時間」「航続距離」「車体価格」「バッテリー耐久年数」が高い。カーボンニュートラル宣言の認知により、EV・PHVユーザー共に「電気自動車(EV)」の購入意向が増加。
  • EV・PHV保有者の「環境問題関心度」「カーボンニュートラル」認知は8割以上。
  • 取り組み希望は国へは「充電・充填インフラの拡充・整備、規制緩和」、自動車業界へは「電動車普及に向けた技術開発」がトップ。
3. 先進安全技術車に対する意識
●高齢者事故報道の影響もあり、運転手の運転ミスをカバーする安全技術への要望が高い。
  • 運転を続ける上での不安は「視力が低下」「注意力が低下」「反応速度が低下」。
  • 車に対する要望では「長時間運転しても疲れない車にする」「先進安全技術の搭載」「前方視界を見やすくする」が継続して上位。
  • 装着意向の高い安全技術は「衝突被害軽減ブレーキ」「歩行者の検知・保護支援システム」「誤発進防止システム」。
4. 次世代技術に対する意識
1) 自動運転車に対する意識
●自動運転車関心層は5割弱。「レベル3(条件付運転自動化以上」を望む人が4割強。
2) コネクティッドの利用意向
●利用意向の高いサービス・機能は「盗難防止/盗難時通報サービス」「ナビ地図データの自動更新」「エアバック機能作動時の緊急サービス」「車両制御機能の自動アップデート」。
5.保有形態に対する意識
●インフラ整備が進んでいる首都圏中心部に近いほど「カーシェア」の利用意向が高い。「サブスクリプション」利用意向者はまだほとんどいない段階。
  • 「レンタカー」の認知は約8割。「カーシェア」は約4割。
  • 利用経験は「レンタカー」は5割強、「カーシェア」は3%にとどまる。
  • 利用意向は「レンタカー」は5割強、「カーシェア」は2割弱。
  • 購入方法は「現金一括」6割弱、「一般のローン/クレジット」が2割程度。
6.自動車に支払える費用
●生活の支出に占める車関連出費は約2割が負担を感じており、2割弱が今後減らしたいと感じている。
年間維持費が40万円以内の人は、5割以上の人が10万円程度は削減したい意向。
7.高齢層分析
●4割弱は毎日運転しており、まだまだ運転意欲あり。身体的衰えを「先進安全技術」でカバーしたいと考えている。7割強は次も車を購入する予定。
  • 年収は少ないものの、50代に比べ資産は持っている。
  • 「反応速度」「注意力」「視力」に不安を感じているものの、運転意欲はまだまだ衰えない。
  • 高齢者の7割が「自主返納制度」を利用する意向。一方で7割強は次も車を購入する予定。
8.若年層分析
●車を積極的に持つ理由は低いものの、車の使用価値は認識しており、「カーシェア利用意向」等使用ニーズはあり。ただし、コロナ感染拡大により外出機会、特に長距離移動を伴う外出が減少。
  • (若年層車保有者の特性)
    • 主使用用途は「通勤・通学」。5割強が毎日利用。
    • 今後の車選びは「デザイン・スペース・乗り心地のよさ重視」。
  • (若年層車非保有者の特性)
    • 免許保有は8割強。免許非保有のうち、取得意向は約3割。
    • 車に関心ありは約4割。車購入意向ありは4割弱。
    • 「レンタカー」や「カーシェア」の利用意向は高い。
    • 「自動運転車」への関心は前回から変わらず、4割強。
    • 環境問題に関心ありは5割弱。「2050年カーボンニュートラル宣言」認知は6割強。「2035年までに新車販売で電動車100%」は5割弱。
    • 貯蓄に積極的な堅実消費志向は変わらず。
    • コロナ感染拡大により「旅行」「アウトドア・レジャー」「帰省」の長距離移動を伴う外出が減少。

以上

資料
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