ニュースリリース

2023年度乗用車市場動向調査について

一般社団法人日本自動車工業会(会長:片山 正則)は、2023年度に実施した乗用車市場動向調査の結果を取りまとめました。
本調査は、単身世帯を含む全国の一般世帯における乗用車の保有、今後の購入意向などを隔年毎に調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするものとなります。
今年度は、これまで同様に保有状況・使用実態・今後の購入意向等とともに次世代自動車・先進安全技術・次世代技術・高齢層・若年層世代特性把握について時系列での動きを捉えています。また、トピックとして車の使用実態・ニーズの変化、購入プロセスの変化、インフレによる乗用車市場への影響について注目しました。

I.時系列調査結果の主な特徴

  1. 乗用車市場動向
    • 乗用車世帯保有率は77.6%、乗用車複数保有率は35.7%。地方圏小都市以下、家族成熟期では世帯保有率・複数保有率ともに高い。2年前と比較した保有台数は殆どの世帯が変化無し。
    • 全体では軽乗用車の保有が4割弱を占め最も高く、首都圏より地方圏で高い。ハイブリッド等の次世代エンジンタイプが約2割を占め増加傾向が継続。
    • 非保有世帯の割合は首都圏中心部、低年収層、独身期、高齢期で高く、非保有理由は維持費負担が上位。
      非保有世帯の今後の購入意向は低水準が続くものの、独身期・家族形成期での購入意向、潜在的保有意向は高い。
  2. 乗用車ユーザーの特性と使用状況
    • 主運転の女性比率、高齢比率が上昇傾向。
    • 平均月間維持費、維持費全体への負担感は17年度より上昇が継続。特に「燃料代」への負担割合が21年度より大幅に増加。利用頻度や走行距離は21年度より減少。
  3. 購入状況
    • 同タイプ・クラスからの買い替えが中心。
    • 保有期間は平均7.2年で、10年超が2割強を占める。新車の平均保有期間は7.7年で、中古車に比べ1.5年長い。
    • 購入のきっかけは前保有車の経年変化が上位。購入したい車への考え方では「燃費のよい車」「経済性に優れた車」が21年度より増加となり、平均購入価格は264万円と17年度より上昇傾向が続く。
  4. 今後の保有・購入動向
    • 減車意向が増車意向を上回る傾向は継続。減車意向は低年収層、高齢層で高く、主に身体及び経済面が要因。
      また、経済的な要因として「ガソリン・駐車場代」は21年度より大きく増加。
    • 同クラス・同サイズ意向が高い傾向が継続。ダウンサイズ意向は21年度より微減。次世代エンジン意向は5割弱で大きな変動はないものの、大・中型車で電気意向が増加。

II.トピック調査結果の主な特徴

  1. 次世代自動車への意識
    • 次世代自動車の中で購入検討順位1位とした割合は「ハイブリッド車(HV)」が最も高いものの、「電気自動車(EV)」を購入検討順位で1位とした割合は継続的に上昇。懸念点は引き続き「車両価格」「航続距離」「充電時間」。
    • 「補助金制度」の認知は6割強。内容認知は1割強に留まる。「申請のわかりにくさ」が利用にあたっての懸念点。
    • 自宅への充電器設置はほとんどなく、非設置理由は「設置費用」と「設置スペース」。充電器設置希望場所は「ガソリンスタンド」「コンビニエンスストア」「大型商業施設」「高速道路のSA・PA」。
  2. 次世代技術に対する意識
    • 運転を続ける上での不安を解消するための運転支援技術の装着意向が高く、特に高齢になるほど高くなる傾向。
    • 自動運転車の関心度と「レベル3(条件付運転自動化)以上」を望む割合の増加が継続。技術面の不安はあるものの、安全性が高まることを期待。
    • 有料でも利用意向の高いサービス・機能は「盗難防止/盗難時追跡サービス」「ナビ地図データの自動更新」「エアバック作動時の緊急通報サービス」。
  3. 高齢層分析
    • 高齢運転者の買い替え中止予定や自主返納制度利用意向は減少しており、運転中止年齢は高齢化。
      身体的衰えを「先進安全技術」でカバーし、運転を継続したいと考えている。
  4. 若年層(非保有者)分析
    • 若年層車非保有者の車への関心度、購入意向はともに21年度より減少。車の持ち方では、公共交通機関で十分という意見が半数程度を占める。自分専用車の保有意向は2割弱。また、若年層車非保有者のうち、SDGs・CN関心層は車への関心・購入意向が高く、自動車サービスや自動運転車への受容性が高い点が若年層車保有者と類似。
  5. 車の使用実態・ニーズの変化
    • 自家用車の利用は2年前と比べ約4割が増加と回答。特に地方圏小都市で増加。一方、首都圏中心部では「所有している自転車」の利用が増加。2年前と比べ収入、暮らし向きのゆとり、遠出の外出は2割超が減少。今後1年も同傾向が見込まれる。特に高齢期では収入、長距離の移動の減少見込みが高いものの、独身期や家族形成期では遠出の外出での自家用車利用に増加の兆しが見られる。
    • 移動手段以外の今後の車の利用ニーズでは「災害時の避難場所・充電」が高く、居住性を高める装備や電源・Wi-Fiが求められている。
  6. 購入プロセスの変化
    • 購入時、登録車ユーザーは軽自動車ユーザーに比べ店舗訪問率が高く、多くの情報を入手。購入時の情報源は「販売店・ディーラー」「メーカー公式サイト」が多く、重視度も高い。
      一方、インターネット販売の利用意向は全体で2割程度ではあるものの、若い層や車両価格が高い層では利用意向が高い傾向。
  7. インフレによる乗用車市場への影響
    • インフレによる乗用車市場への影響としては、「車関連出費」を減らした人が1割程度。「車の購入中止」「保有期間の長期化」の理由として景気の悪化、燃料価格高騰が増加。
    • 車両価格高騰は購入者の約8割が認知しており、当初予算を増加して対応。10万円以上予算を上回った場合、4割の人はオプション・グレードや支払方法に影響。

なお、上記の特徴ならびに詳細については、報告書をご参照ください。
報告書は、当会ホームページにも掲載します。

以上

ご参考

2023年度乗用車市場動向調査の概要

1. 調査設計

※トピック「若年層分析」「消費行動」にあたって、WEB調査を追加実施した。
調査地域 全国
調査対象 単身世帯を含む一般世帯
対象回答者 自動車保有世帯では直近購入車の主運転者
非保有世帯では運転免許保有者または家計の中心者
標本抽出方法 層化二段抽出法
調査方法 訪問面接、留置併用・WEB回答併用
調査実施時期 2023年8月17日~10月6日

2. 調査結果 総括

  • 近年の乗用車世帯保有率は約8割。保有期間平均は7.2年で10年超が2割強を占める長期保有傾向は継続。
  • 平均月間維持費、維持費全体の負担感は上昇が継続。特に燃料代への負担感が21年度より大きく増加。
    非保有理由も維持費負担が上位。
  • 「車の購入中止」「保有期間の長期化」の理由として景気の悪化、燃料価格高騰が増加しており、インフレが購入に影響。
  • 車両の平均購入価格は264万円と17年度より上昇が継続。車両価格高騰は購入者の約8割が認知。
    車両価格が当初予算を10万円以上上回った場合、4割の人のオプション・グレード選択に影響。
  • 約4割は2年前(コロナ禍)より自家用車の利用が増加。一方、旅行やレジャー等の遠出の外出利用は2割超が減少。ただし、独身期や家族形成期は遠出の外出利用に増加の兆し。
  • 保有車に占めるハイブリッド等次世代エンジンの割合は増加傾向が継続。購入検討順位1位とする割合はハイブリッド車(HV)が最も高いが、電気自動車(EV)の割合は継続的に上昇。
    EV補助金制度の内容認知は1割強。
  • 車のインターネット販売利用意向は約2割に留まる。非利用意向理由は「デザイン・サイズ」「装備・機能」「質感」が分からない点。一方、若い層や高価格帯車両保有層では利用意向は高い。

3. 時系列調査結果

I.乗用車市場動向
1) 乗用車保有状況
●乗用車世帯保有率は77.6%、乗用車複数保有率は35.7%。地方圏小都市以下、家族成熟期では世帯保有率・複数保有率ともに高い。2年前と比較した保有台数は殆どの世帯が変化無し。
  • 23年度の乗用車世帯保有率は77.6%。乗用車複数保有率は35.7%。
  • 乗用車世帯保有率は地方圏中都市以下と、家族形成期~成熟期で8割を超え高い。
  • 乗用車複数保有率は首都圏周辺および地方圏小都市以下、家族成熟期で4割を超える。
  • 2年前と比較した保有台数は「変わらない」が9割以上と高く、15年度より大きな変化はなし。
2) 車種タイプ・車型別保有率
●全体では軽乗用車の保有が4割弱を占め最も高く、首都圏より地方圏で高い。ハイブリッド等の次世代エンジンタイプが約2割を占め増加傾向が継続。
  • 車型では、「軽乗用車」が4割弱を占め、「ボンネットワゴン」が2割強で続く。
  • 排気量では、「660cc以下」が3割強。また、「ハイブリッド・その他」の次世代エンジンが約2割を占め15年度より増加が継続。
  • 「軽乗用車」は首都圏に比べ地方圏で高く、低年収層、家族形成期、結晶期での保有率が高い。
  • 複数保有の組み合わせでは、「軽乗用車・軽ボンネットバンとRV系」の組み合わせが最も高い傾向が続く。
3) 非保有とその理由
●非保有世帯の割合は首都圏中心部、低年収層、独身期、高齢期で高く、非保有理由は維持費負担が上位。
非保有世帯の今後の購入意向は低水準が続くものの、独身期・家族形成期での購入意向、潜在的保有意向は高い。
  • 四輪自動車非保有世帯は全体の21%。首都圏中心部、低年収層、独身期および高齢期で高い傾向。
  • 現在非保有理由は、維持費負担が上位。高齢期では「高齢、病気、体力理由」が高い。
  • 非保有世帯の今後の購入意向は6%。独身期・家族形成期では購入意向は1割を超え高い。
  • 経済的問題などの制約条件が一切ない場合の保有意向は約3割。独身期~家族成長後期の半数以上で保有意向あり。
II.乗用車ユーザーの特性と使用状況
1) ユーザー層の特性
●主運転の女性比率、高齢比率が上昇傾向。
  • 主運転者の世帯ライフステージは、高齢期が3割強を占める。続柄は家計の中心者とその配偶者で9割以上を占める。
  • 主運転者における「女性」比率は約5割で、女性主運転者の平均年齢は上昇傾向。
2) 使用状況
●平均月間維持費、維持費全体への負担感は17年度より上昇が継続。特に「燃料代」への負担割合が21年度より大幅に増加。利用頻度や走行距離は21年度より減少。
  • 主使用用途は「買物・用足し・他」が4割強で最も高い傾向が継続。21年度より毎日利用や走行距離は減少。
  • 平均月間維持費は12,100円と17年度より上昇が続く。特に家族成長前期・後期では14,000円を超え高い。
  • 維持費の「負担感大きい計」は60%。「車検代」は約8割、「任意保険料」「燃料代」は7割以上が負担を感じており、「燃料代」は21年度より大幅に増加。
III.購入状況
1) 購入形態と流入・流出構造
●同タイプ・クラスからの買い替えが中心。
  • 直近2年以内購入車でみると、流入状況は「新車→新車」が5割弱。また、軽買い替え「軽→軽」が21年度より減少。
  • 直近2年以内購入車でみると、流出状況は概ね同タイプ・クラス移行が中心。中古車歩留りは約7割。
2) 前保有車の保有期間
●保有期間は平均7.2年で、10年超が2割強を占める。新車の平均保有期間は7.7年で、中古車に比べ1.5年長い。
  • 前保有車の平均保有期間は7.2年、10年超の長期保有車は2割強。前保有新車では平均保有期間は7.7年、前保有中古車では平均保有期間は6.2年。
3) 購入時状況と購入者意識
●購入のきっかけは前保有車の経年変化が上位。購入したい車への考え方では「燃費のよい車」「経済性に優れた車」が21年度より増加となり、平均購入価格は264万円と17年度より上昇傾向が続く。
  • 現保有車の購入決定者は主運転者が77%。購入のきっかけは「手放した車が一定基準に達した」「手放した車の状態変化」といった前保有車の経年変化が上位。
  • 購入したい車への考え方は「走行時の操作性が高く、運転しやすい車」「長距離を走行しても疲れが少ない車」が9割超。「多少価格が高くても燃費のよい車」「経済性に優れた車」は21年度より5pt以上増加。
  • 購入価格は「301万円以上」が4割弱。平均購入価格は264万円で、17年度より上昇が続く。
  • 購入方法は「現金一括で購入した」が58%で最も高く、特に首都圏周辺、高齢期で7割前後と高い。
IV.今後の保有・購入動向
1) 保有意向と保有期間
●減車意向が増車意向を上回る傾向は継続。減車意向は低年収層、高齢層で高く、主に身体及び経済面が要因。
また、経済的な要因として「ガソリン・駐車場代」は21年度より大きく増加。
  • 今後の買い替え予定は、「買い替える時期は未定」が6割強、「今後5年以内に買い替える予定」は2割。
    「自動車の保有をやめる予定」は1割で、低年収層、高齢期では2割前後と高い。
  • 保有台数の意向は、減車意向が増車意向を上回る状況が継続。低年収層、高齢期は約2割が減車意向。
    減車意向の理由は、身体的及び経済的要因。また、「ガソリン・駐車場代」は21年度より増加。
2) 購入意向
●同クラス・同サイズ意向が高い傾向が継続。ダウンサイズ意向は21年度より微減。次世代エンジン意向は5割弱で大きな変動はないものの、大・中型車で電気意向が増加。
  • 今後の買い替え予定車はどの車種も同クラス意向が中心。
  • 車体サイズ意向では同サイズ意向が約7割で中心。ダウンサイズ意向は21年度よりやや減少。
  • 次世代エンジン(ハイブリッド+プラグインハイブリッド+電気+燃料電池)意向は48%で21年より大きな変動はなし。買い替え予定車車型別において、大・中型車で「電気(EV)」の意向が21年度より増加。

4. トピック調査結果

1. 次世代自動車への意識
●次世代自動車の中で購入検討順位1位とした割合は「ハイブリッド車(HV)」が最も高いものの、「電気自動車(EV)」を購入検討順位で1位とした割合は継続的に上昇。懸念点は引き続き「車両価格」「航続距離」「充電時間」。
  • 「ハイブリッド車(HV)」「電気自動車(EV)」の認知率が6割以上で21年度より上昇。
    • 「HV」「EV」ともに男性、次期意向車車両価格300万円超での認知率が約7割以上と高い。
  • 次世代自動車の購入検討順位で1位とした割合は「HV」「EV」「プラグインハイブリッド車(PHV)」の順で高く、「EV」を1位とした割合は継続的に上昇。
    • 「EV」は高齢期で意向が高く、独身期の意向は21年度より10pt以上増加。
    • 「EV」を1位にした理由は、「家庭用コンセントで充電できる」「環境にやさしいイメージがある」「最先端の技術を取り入れた車」。
  • 各次世代車の懸念点では「車両価格」が最も高い。「EV」はその他に「1回の充電での走行距離が短い」「充電するのに時間がかかる」が3割を超える。
  • EVの希望走行距離は仕事・日常で平均180km程度。レジャーでの使用時は280km程度を希望。
    • 次期意向車が次世代自動車の場合は、ガソリン・ディーゼル車に比べ長距離を希望。
  • EVの充電時間は保管場所では2時間以内、外出先の急速充電では30分以内、外出先の普通充電では60分以内であれば7割以上が許容。
  • 欲しい車がEVになった場合の追加負担許容額は「10万円以内」までなら5割強が許容。
    • 次期車車両価格が高いほど追加負担許容額は増加。次期車車両価格401万円以上では、平均で31万円までを許容。
●「補助金制度」の認知は6割強。内容認知は1割強に留まる。「申請のわかりにくさ」が利用にあたっての懸念点。
  • 補助金の認知率は6割強で、内容認知は1割程度。補助金額は「50万円」までを3割強が、「100万円」までを7割強が希望。懸念点は「申請のわかりにくさ」が半数以上。
    • 女性、男女18~29歳では「制度の存在を知らなかった」が5割を超え高い。
    • 次期車車両価格が高いほど希望補助金額が高く、次期車車両価格401万円以上では、平均95万円を希望。
    • 補助金の懸念点は「申請がわかりにくい」が5割強で最も高い。次いで「登録後にしか受け取れない」「国の補助金は予算上限に達した段階で受付終了になる」。
●自宅への充電器設置はほとんどなく、非設置理由は「設置費用」と「設置スペース」。充電器設置希望場所は「ガソリンスタンド」「コンビニエンスストア」「大型商業施設」「高速道路のSA・PA」。
  • 充電器の設置状況は4%。設置意向は3割強。充電器非設置意向理由は「設置費用がかかる」「設置するスペースがない」が約5割以上。充電器設置希望場所は「ガソリンスタンド」「コンビニエンスストア」「大型商業施設」「高速道路のSA・PA」を約5割以上が希望。
    • 持ち家一戸建て、次期意向車が次世代自動車の人の設置意向は約4割と高い。
    • 戸建以外の住居形態では「設置するスペースがない」「電源の確保ができない」が理由として高い。
2. 次世代技術に対する意識
□先進安全技術
●運転を続ける上での不安を解消するための運転支援技術の装着意向が高く、特に高齢になるほど高くなる傾向。
  • 運転を続ける上での不安は「注意力が低下」「視力が低下」「反応速度が低下」。
    • 男性、女性とも60代以上では8割以上が何かしらの不安を抱えている。
  • 車に対する要望では「長時間運転しても疲れない車にする」「先進安全技術の搭載」「前方視界を見やすくする」が継続して上位。
    • 男性60代以上では先進安全技術搭載の希望が高い。
  • 装着意向の高い安全技術は「衝突被害軽減ブレーキ」「歩行者の検知・保護支援システム」「誤発進防止システム」が継続して上位。上位装備のいずれも装着意向が21年度より増加。
    • 「衝突被害軽減ブレーキ」は首都圏中心部・地方圏大都市での装着意向が高い。
  • 先進安全技術許容価格では10万円超のコストを許容する人は5割弱で、21年度より増加。
    • 首都圏中心部・近郊は5割以上が10万円超を許容。
□自動運転車
●自動運転車の関心度と「レベル3(条件付運転自動化)以上」を望む割合の増加が継続。技術面の不安はあるものの、安全性が高まることを期待。
  • 自動運転車関心層は引き続き増加が継続し5割弱。
    • 首都圏中心部、年収第5分位での関心度が5割を超え高い。
  • 非関心理由は「安全面で不安」「自分で運転したい」が上位で、安全面での不安は21年度より増加。特に高齢女性で不安が高い。
  • 自動運転車に期待することは「安全性が高まる」「利便性が向上する」「渋滞が緩和される」。
    • 男性70歳以上では「安全性が高まる」が21年度より10pt以上増加し期待が高い。
  • 「レベル3以上」を望む割合は5割弱で増加傾向。
    • 独身期・家族形成期・家族成長前期では「レベル5」を望む割合が高い。

      <自動運転レベルについて>

      レベル1:システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポート
      レベル2:システムがステアリング操作、加減速のどちらもサポート
      レベル3:特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作
      レベル4:特定の場所でシステムが全てを操作
      レベル5:場所の限定なくシステムが全てを操作

□コネクティッド
●有料でも利用意向の高いサービス・機能は「盗難防止/盗難時追跡サービス」「ナビ地図データの自動更新」「エアバック作動時の緊急通報サービス」。
  • 独身期では、ほとんどのコネクティッドサービスで有料の利用意向が高め。
  • 利用意向者の価格許容は「~年間1万円まで」が7割弱。
3. 高齢層分析
●高齢運転者の買い替え中止予定や自主返納制度利用意向は減少しており、運転中止年齢は高齢化。身体的衰えを「先進安全技術」でカバーし、運転を継続したいと考えている。
  • 60歳以上主運転者は高齢になるほど年収は少ないものの資産は持っており、非保有世帯に比べ年収、資産ともに多い。
    • 世帯年収は60歳以上では50代に比べて290万円程度少ないものの、資産は300万円程度多い。
  • 60歳以上主運転者が感じている運転に対する不安の上位は、「注意力が低下」「反応速度が低下」「視力が低下」。
  • 装着意向の高い技術上位は、「衝突被害軽減ブレーキ」「歩行者の検知・保護支援システム」「誤発進防止システム」。いずれの装備も装着意向が21年度より大きく増加。
  • 60歳以上主運転者の運転中止年齢は21年度より高齢化。
  • 60歳以上の7割弱が自主返納制度の利用意向あり。利用意向は21年度より減少。
  • 今後、保有を中止予定の人は21年度より減少し2割程度で、買い替え予定と同程度。
4. 若年層(非保有者)分析
●若年層車非保有者の車への関心度、購入意向はともに21年度より減少。車の持ち方では、公共交通機関で十分という意見が半数程度を占める。自分専用車の保有意向は2割弱。また、若年層車非保有者のうち、SDGs・CN関心層は車への関心・購入意向が高く、自動車サービスや自動運転車への受容性が高い点が若年層車保有者と類似。
  • 若年層における生活の変化では「友人・知人と会う時間・機会」「暮らし向きのゆとり」で「減った」の割合が「増えた」に比べ高い。
  • 「SDGs」「CN(カーボンニュートラル)」の関心度は4割台、認知度は8割程度。
    いずれも、社会人・主運転車ありに比べ、関心・認知は低い。
  • 免許保有は約8割。免許非保有のうち、取得意向は2割弱。
    • 保有理由は「身分証代わり」「免許は持つモノ」など免許保有が目的で取得。
    • 免許不要理由は「生活上不要」や「事故が怖い」が上位。
  • 車に関心ありは4割弱。車購入意向ありは3割強で、ともに21年度より減少。SDGs・CN関心層は車への関心・購入意向ともに高い。但し、SDGs関心層では「ガソリン等の維持費」を懸念。
    • 買いたくない理由は「買わなくても生活できる」「運転に自信がない」「お金は車以外に使いたい」。主に車の必要性が低いことやお金がかかることが理由。
    • 車のイメージも「ガソリンなど維持にお金がかかる」「購入するのに多くのお金がかかる」が上位。「ガソリンなど維持にお金がかかる」は21年度より増加となり、SDGs関心層で5割弱と高い。
  • 車の持ち方は公共交通機関で十分という意見が半数程度を占め、自分専用車の保有意向は2割弱。
  • 自動車サービスの認知・経験・意向はレンタカー、タクシー配車サービス、カーシェアの順で高い。
    SDGs・CN関心層はいずれのサービスに対しても受容度が高い。
    • SDGs・CN関心層では「レンタカー」で約6割、「タクシー配車サービス」で6割弱、「カーシェア」で5割弱の利用意向がある。
  • 自動運転車の関心度は21年度より減少し、非関心理由は「販売価格」や「生活に必要ない」「安全面の不安」が挙がる。但し、車関心層、車購入意向層、SDGs・CN関心層の関心度は6割前後と高い。
    • 非関心理由「販売価格が高いから」は4割で19年度より増加傾向が継続。次いで「生活に必要ないから」「安全面で不安だから」が3割以上で上位。
5.車の使用実態・ニーズの変化
●自家用車の利用は2年前と比べ約4割が増加と回答。特に地方圏小都市で増加。一方、首都圏中心部では「所有している自転車」の利用が増加。2年前と比べ収入、暮らし向きのゆとり、遠出の外出は2割超が減少。今後1年も同傾向が見込まれる。特に高齢期では収入、長距離の移動の減少見込みが高いものの、独身期や家族形成期では遠出の外出での自家用車利用に増加の兆しが見られる。
●移動手段以外の今後の車の利用ニーズでは「災害時の避難場所・充電」が高く、居住性を高める装備や電源・Wi-Fiが求められている。
□移動手段の変化
  • 増えた、減った移動手段ともに「自家用車」が最も高い。地方圏小都市では「自家用車」、首都圏中心部では「所有している自転車」の利用が増加。
    • 増えた移動手段は「自家用車の利用」が38%で最も高く、特に地方圏小都市で増加した割合が高い。
      「所有している自転車の利用」は首都圏中心部で増加した割合が高い。
    • 減った移動手段は「自家用車の利用」が21%で最も高い。
□2年前からの変化
  • 生活変化では「世帯収入」「暮らし向きのゆとり」等の経済面、「友人・知人と会う機会」「外食の機会」「長距離の移動」等の行動面での減少がみられる一方で、「ネットショッピングの利用」は増加が目立つ。
    外出頻度・自家用車利用頻度では、旅行やレジャー等の遠出の外出が2割超減少し、特に高齢期での減少が顕著。
    • 「友人・知人と会う時間・機会」「外で食事をする時間・機会」「世帯収入」「長距離の移動」が減った割合は3割前後、「暮らし向きのゆとり」が減った割合は2割超で「増えた」割合を10pt以上上回る。
    • 「ネットショッピングの利用」の増加は都市部や独身期~家族成長後期で目立ち、「世帯収入」「長距離の移動」「外で食事をする時間・機会」の減少は高齢期で目立つ。
    • 外出頻度、自家用車の利用頻度ともに「宿泊を伴う国内旅行」「日帰り国内旅行」「アウトドア・レジャー」「ドライブ」「帰省」といった遠出の外出で「減った」割合が2割を超える。特に高齢期では「宿泊を伴う国内旅行」「日帰り国内旅行」「アウトドア・レジャー」「ドライブ」が3割を超え高く、全体と比べても高い。
□1年後の変化
  • 今後一年も「世帯収入」「長距離の移動」の減少見込みは高く、ネットショッピングの利用は増加見込みが高い。
    外出では、「アウトドア・レジャー」「宿泊を伴う国内旅行」「日帰り国内旅行」「ドライブ」等の遠出の外出が引き続き減少する見込みで、特に高齢期で顕著。但し、独身期、家族形成期では遠出の外出での自家用車利用は増加の兆し。
    • 「世帯収入」「暮らし向きのゆとり」「長距離の移動」は今後も減少見込みが2割以上と高い。一方で、「ネットショッピングの利用」は今後も増加の見込みが2割弱と高い。
    • ・外出頻度・自家用車の利用頻度では、「アウトドア・レジャー」「宿泊を伴う国内旅行」「日帰り国内旅行」「ドライブ」等の遠出の外出は3割弱が減る見込み。減少の見込みは高齢期で高いものの、独身期、家族形成期では「増える」見込みが高い。
□車の使い方と必要な装備・機能
  • 利用経験では「ワークスペース(趣味)」が最も高く、小型・ステーションワゴンユーザーでの意向が高い。
    今後の利用意向では「災害時の避難場所・充電」が最も高く、3列シートミニバン・SUVユーザーで特に高い。
    「災害時の避難場所・充電」においては、居住性を高める装備や電源・Wi-Fiを必要としている。
    • 「ワークスペース(趣味)」での利用経験・利用意向は高く、小型・ステーションワゴンユーザーで特に高い。
      「災害時の避難場所・充電」は意向が最も高く、3列シートミニバン・SUVユーザーで特に高い。
    • 今後意向の高い「災害時の避難場所・充電」では、居住性を高める装備や電源、Wi-Fiを希望。
6.購入プロセスの変化
●購入時、登録車ユーザーは軽自動車ユーザーに比べ店舗訪問率が高く、多くの情報を入手。購入時の情報源は「販売店・ディーラー」「メーカー公式サイト」が多く、重視度も高い。一方、インターネット販売の利用意向は全体で2割程度ではあるものの、若い層や車両価格が高い層では利用意向が高い傾向。
□購入プロセス
  • 購入までの検討期間は平均5.0ヶ月、比較検討車数は平均2.1台、平均訪問店舗数は1.6店舗、店舗への平均訪問回数は2.6回。登録車ユーザーは軽自動車ユーザーに比べ、店舗訪問頻度が高い。
    • 購入車両価格が高い人ほど検討期間が長くなり、店舗訪問回数も増加。
  • 情報入手率は「車両価格」が最も高く、訪問前・訪問時・訪問後とも上位にあがる。軽自動車ユーザーは登録車ユーザーに比べ、各種情報入手率が低い。
    <店舗訪問前>「デザイン・スタイル」「車両価格」が5割以上で上位。
    <店舗訪問時>「室内・荷室のゆとり」「乗り心地」「車両価格」が6割前後で上位。
    <店舗訪問後>「オプション」「車両価格」が3割弱で上位。
  • 各情報の入手経路は「販売店・ディーラー」「メーカー公式サイト」が高い。
    • 情報入手経路は「販売店・ディーラー」が6~7割。次いで「メーカー公式サイト」が2~4割。
    • 各情報の重視度は世帯年収が低いほど「販売店・ディーラー」が、世帯年収が高いほど「メーカー公式サイト」が高い傾向。
□インターネット販売利用意向と意向理由
  • インターネット販売の利用意向は約2割。若い層や車両価格が高い層ほど利用意向が高い。
    利用意向理由は「時間の制約が無い」「気軽」な点。非利用意向理由は「デザインや車体サイズ」「装備や機能」「細部」が見られない点。
    <利用意向理由>

    「時間を気にせず利用できるから」、「価格・デザインのシミュレーションが手軽にできるから」が上位。

    <非利用意向理由>

    実物をみないと「デザインや車体サイズ」「装備品や機能」「細部の質感」が分からない点が上位。
    70代では上位項目の他、「購入時に分からない点を、直接聞いたり、アドバイスをもらえないから」「価格交渉ができないから」が上位。
7.インフレによる乗用車市場への影響
●インフレによる乗用車市場への影響としては、「車関連出費」を減らした人が1割程度。「車の購入中止」
「保有期間の長期化」の理由として景気の悪化、燃料価格高騰が増加。
□物価高による影響
  • 車関連出費は1割強の人が「物価高の影響で減らした」と回答。2割強の人が「負担」「今後減らしたい」と感じている。
    • 車関連支出を「負担に感じている」割合は家族形成期~家族成長後期で3割前後と高い。
    • 車関連支出を「今後減らしていきたい」割合は男性70代以上、女性60代以上で3割前後と高い。
□車の購入・保有期間への影響
  • 車の購入中止・保有期間長期化の理由では「車両価格高騰」「資金不足」が高く、景気の悪化が進行しているという意識が強い。
    • 直近2年で購入を検討した人は47%で、そのうち「検討したが車の購入をしなかった」人は4%。
      非購入の理由は「車両価格が上昇し、購入予算では買えなかった」「個人的な事情や身の回りの環境などの変化」「景気の悪化」が3割前後で上位。「景気の悪化」「燃料価格の高騰」は19年度より大きく増加。
    • 現保有車の保有期間は「長くなると思う」人が約4割。理由は「資金の余裕のなさ」が4割弱で最も高い。
      次いで「景気の悪化」が3割弱で21年度より大きく増加。
●車両価格高騰は購入者の約8割が認知しており、当初予算を増加して対応。10万円以上予算を上回った場合、4割の人はオプション・グレードや支払方法に影響。
  • 購入時、約8割が車両価格高騰を認知。車両価格が高いほど認知率が高い傾向。
  • 当初予算からの増額は「+30万円以上」が43%。平均増額は28.3万円。車両価格が高いほど平均増額が高い傾向。
  • 予算増額の影響は「オプションやグレードを見直して買いたい車を購入した」が1割程度で最も高いものの、「特に影響はなかった」が7割弱。「+10万円以上」の増額では4割前後の人が購入時に何かしら影響を受けた。

以上

資料

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