ニュースリリース
2023年度軽自動車の使用実態調査について
一般社団法人日本自動車工業会(会長:片山 正則)は、2023年度に実施した軽自動車使用実態調査の結果を取りまとめました。
本調査は、1981年より隔年で実施しており、軽自動車の使用状況や軽自動車ユーザーの生活意識・消費行動の実態から、社会の要望に対して軽自動車が置かれている位置づけを明らかにすることを目的としています。
今回の調査では、大きく捉えると以下のような特徴が見られました。
1. 軽自動車の使用と購買実態
- 軽乗用系のユーザーは、60代以上と女性が中心。使用頻度は、「ほとんど毎日」使う人が減少傾向にある。
燃費については6割強のユーザーが満足している。 - 軽キャブバンの主用途は「乗用用途」が増加。使用用途では、商品の仕入れ・納入や通勤・通学での使用割合が上昇している。
- 軽トラックのユーザーは「男性」が約9割、「60代以上」が7割を占める。世帯年収は増加している。
使用頻度は「ほとんど毎日」が減少傾向。主用途は「農用用途」が増加傾向。
2. 軽自動車の存在意義
- 軽自動車は、公共交通機関が不便な人口密度の低い地方部に多く普及している。
- 人口密度が低くなるほど公共交通機関を利用する機会が少なく、車を利用する割合が高くなる。生活必需品としての役割は人口密度が低くなるほど高い。
- 軽自動車ユーザーの約4割を占める高齢者の軽自動車の利用は、日常の買物や病院への通院・送迎が中心。60代以上の約9割は軽自動車から普通自動車に変えると不都合が発生し、約4割は車の維持が困難となる。
- 軽自動車ユーザーの6割強を占める女性の軽自動車使用頻度は高く、日常の買物や友人・知人への訪問等様々な用途に使っている。50代以下の女性ユーザーでは8割以上が有職者。
3. 2年前(新型コロナピーク時)と比べての生活・移動手段の変化/軽自動車の用途多様化の実態
- 新型コロナが収束する中にあっても、友人・知人と会う、外食など外向きの活動はコロナ禍よりも「減った」人が「新たに始めた/増えた」人よりも多い。
- 2年前と比べ、主に乗っている車の利用は「増えた」人が「減った」人を上回る。
4. 安全技術に対するユーザー意識
- 「衝突被害軽減ブレーキ」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」「後側方衝突防止支援システム」は魅力度も装着意向も高い。「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は60代以上での装着意向が高い。
- 「衝突被害軽減ブレーキ」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は4割以上が追加費用ありでも装着を意向している。
5. 電動車に対するユーザー意識
- 電動車ではハイブリッド車の購入意向は約3割、電気自動車の購入意向は2割強で21年度から大きな変化がみられない。いずれの電動車も車両価格の高さが懸念点のトップ。一方、懸念点は「わからない」が3割以上とまだまだ理解が進んでいない状況も垣間見える。
6. 物価上昇の影響【WEB調査】
- 直近1年間の軽自動車新車購入検討者の購入行動は、「軽自動車の新車を購入した」が25%、「中古車に変更」が26%、「購入を延期、断念した」が45%となった。
- 当初予定していた新車購入行動に変化が見られた層の7割近くが、行動変化に「物価上昇が影響している」と回答した。
7. 公共交通不便地域の高齢者免許返納意識【グループインタビュー調査】
- 免許返納前の高齢者は、身体的衰えを自覚し、運転への不安を抱いている人も多いが、その一方で、公共交通が不便な地域では、生活の足として高齢者もほぼ毎日車を運転せざるをえない実態がある。
- 免許返納した高齢者は、急用ができた際に免許返納の不便さに気付いたとの声が聞かれた。代替交通手段の不便さや行政への不満が多い。
- 運転免許返納を少しでも先延ばししたいという高齢者、その家族の思いは強い。これに対して、車体がコンパクトで運転がしやすい軽自動車が既に免許返納を先延ばしにする為の一つの手段となっている。
<調査設計概要>
全国訪問留置調査
- 調査対象 :軽自動車を保有する世帯及び事業所
- 総回収数 :2,574サンプル(軽乗用車1,784サンプル、軽ボンバン177サンプル、軽キャブバン245サンプル、軽トラック368サンプル)
- 調査時期 :2023年6月1日~7月12日
- 調査手法 :訪問留置調査
WEB調査
- 調査対象 :全国20歳以上男女の運転免許保有者
- 総回収数 :SCR調査(19,506サンプル) 本調査(500サンプル)
- 調査時期 :2023年6月23日~6月26日
- 調査手法 :WEB定量調査
インタビュー調査
- 調査対象 :返納前高齢者(男女70代)、返納後高齢者(女性80代)、高齢者家族(女性50代)
- 総回収数 :13名
- 調査時期 :2023年6月24日
- 調査手法 :フォーカスグループインタビュー
※調査の詳細は調査報告書をご覧ください
※報告書は一般向けに配布するとともに、当会ホームページにも掲載します。
資料
以上