記者会見
自工会 記者会見を実施
自工会は9月19日、都内で記者会見を実施しました。会場とオンラインで参加した多くの報道陣に対し、会長の片山正則(いすゞ自動車会長)は各副会長とともに型式指定申請や適正取引の事案をはじめ、今年はビジネスショーとして開催を予定しているJAPAN MOBILITY SHOWへの期待、自動車税制の抜本見直しに関する抱負を語りました。
記者会見アーカイブ(中継録画)
会長 片山 正則(いすゞ自動車 代表取締役会長)
自工会では、これまでカーボンニュートラルの実現をはじめ、MaaSやCASEなど、モビリティ産業への変革に向けたさまざまな課題に取り組んでまいりました。自動車産業を取り巻く環境が激変し、ますます厳しさが増している状況ですが、今後も自動車およびモビリティ産業が基幹産業として日本経済に貢献するために向こう2年程度をスコープに「7つの課題」を抽出し、正副会長自らが、各テーマのリーダーとなって課題解決に向けた検討を進めております。
一方、自動車業界では、足元で課題を抱えております。
1つは、型式指定申請です。本年1月、国土交通省にて、会員企業に対する実態調査が行われた結果、複数の会員企業で不正行為が発覚いたしました。個社の事案ではございますが、複数の会員企業でこのような不正行為が発覚したことは、自動車をお使いいただく全ての皆さまの安全・安心にかかわる自動車製造の根幹の問題として、自工会としても大変重く受け止めており、多くのステークホルダーに支えられている自動車業界が社会に与える影響を考慮すると、あってはならない事案であると認識しております。
各社の個別の状況を踏まえながら、業界全体で再発防止に全力で取り組むべく、会員企業全14社から「経営」「風土づくり」「技術的」といった広い観点から再発防止・未然防止策が243項目、自工会へ提出されました。これら具体的対策を各社で共有し、自社の取り組みに学びとなるもの、役立てられるものがないかを参照することで、再発防止に向けた取り組みをより確実かつ強固なものにしてまいります。
我々自工会は、今回の件を確実に正し、反省するとともに、次にどう活かすかを考えることが大切だと思っております。自動車産業全体のポジティブなエネルギーに変えていくためにも、引き続き当局にアドバイスを仰ぎながら各社トップ同士で直接議論を継続的に重ねることで、業界全体としての取り組み強化に活かしてまいります。
次に、適正取引についてです。自工会では、3月の公正取引委員会からの勧告・要請を踏まえ、下請け取引についての自主的な緊急点検を実施いたしました。この結果については、一部改善が必要と思われた案件が確認されたため、お取引先さまに不利益が生じた場合は、その回復などの処置をとった上で公正取引委員会・中小企業庁にも報告しており、今後も適切に対処してまいります。
併せて、労務費等のコスト増加分の価格転嫁についてお取引先さまとの協議の状況を点検しました。自工会では、お取引先さまとの「明示的な協議」 のあるべき姿を一歩踏み込んで定義付けし、積極的に取り組んでおりますが、「各社の調達・購買部門以外の取引も含め、まだ一部充分にできていない」 といった回答がございました。この点については、今月の価格交渉促進月間において「取引先に交渉の意志を示すレターを自ら発信すること」や「発信だけでなく能動的にお困り事をヒアリングすること」 など、あるべき姿に沿って取り組みを強化してまいります。
こうした自工会の取り組みは取引先の皆さまにも周知いただくため、「明示的な協議」のあり方や、労務費/原材料費/エネルギー費などの費目ごとの対応方針を自工会の「自主行動計画」「徹底プラン」に明記しております。
適正取引についてはOEMとTier1サプライヤーとの取引だけでなく、サプライチェーン全体に浸透させていくことが大変重要な課題であると認識しております。この点についても7月18日に、自工会と部工会双方の正副会長全員による会合を持ち、適正取引のさらなる推進と自動車産業の競争力の強化に向けて一層連携を深めていくことを確認いたしました。
具体的な取り組みの一例として、8月21日に部工会と共催で両会の会員会社向けの「適正取引セミナー」を開催しました。約500名の方にご参加いただき、弁護士から下請法などのコンプライアンスを遵守する上で留意すべきポイントなどを講義いただきました。このような部工会との共催セミナーは、対象の会社や内容を拡大し今後も継続して開催してまいります。
適正取引の推進に向けた活動は、会員企業個社による地道な取り組みを積み重ねていくことが最も重要であり、今般、サプライチェーン全体の共存共栄に向けた会員企業のトップによるパートナーシップ構築宣言においても「明示的な協議を実施すること」や、「労務費や原材料費・エネルギー費などのコスト増加分の適切な転嫁に取り組む事」を織り込んで更新する事としました。
このような取り組みをサプライチェーン全体へ浸透させるべく、引き続き、関係団体と緊密に連携し、一体となって日本の自動車産業の競争力の一層の強化とともに不断の改善活動を推進して参ります。
こうした取り組みに加えて、今年もJAPAN MOBILITY SHOWを開催いたします。
昨年は、東京モーターショーから生まれ変わりJAPAN MOBILITY SHOWという形で初めて開催いたしました。背景には、自動車産業がモビリティ産業へと変革を進め、多くの仲間と一緒に、移動だけではなく、社会課題の解決や新しい価値を創造し、豊かで夢のあるモビリティ社会を創りたいという想いがあり、多くの仲間と一緒に幅広い未来を提示する「共創プラットフォーム」へと進化いたしました。
昨年のような一般の方向けのイベントは今後も2年に1回開催いたしますが、次世代を担うスタートアップ企業とモビリティ関連企業が集い、新たなビジネス共創を生み出す場は毎年開催してまいります。
従いまして、今年は「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」の名称で、「共創プラットフォーム」のアップデートにつながる、ビジネスに特化したイベントを開催します。
今回の取り組みは、3本の柱に焦点を置いております。
1つ目は、スタートアップや事業会社などの技術やサービスをご紹介するブース出展
2つ目は、スタートアップと事業会社とのマッチングプログラム
3つ目は、モビリティ社会の将来に向けた情報発信
というものです。
会期は、来月10月15日から18日、幕張で開催します。
既にご案内の通り、明日、JAPAN MOBILITY SHOWを企画・運営する委員会の青山委員長より、メディアの皆さまに説明会を行います。ブース出展者やトークステージの登壇者、自工会会員メーカー全社による合同の車両展示も決まってきておりますので、是非ご期待いただければと存じます。
今回はビジネスショーですので、広く一般生活者の皆さまというよりは、自社課題の解決を目指す事業会社の方々や新たな技術やサービスのアイディアをお持ちのスタートアップ関係者、そして未来のモビリティ社会や技術革新にご興味のある皆さまに多くご来場いただきたいと考えております。
引き続き、メディアの皆さまにもご協力いただきたく、よろしくお願いいたします。
最後になりますが、自動車税制の抜本見直しについて、自工会としては政府・与党には今年と来年の2年間で腰を据えた議論をしていただきたく、今年の税制改正要望書において具体的な改革案を提示してまいります。詳細については、近日中に公表する予定ですが、改めてメディアの皆さまに別途ご説明する機会を近々設けてまいりますので、引き続きご理解ご支援の程よろしくお願いいたします。