高齢化社会の進展とそれに伴う在宅介護の必要性、障害者の社会参加の進展、また本年１１月１５日にはこれらを背景とした「交通 バリアフリー法」施行など、福祉に対する社会的ニーズ・関心は年々高まってきています。
　自動車メーカーおよび関係会社各社では、こうした高齢化社会・福祉社会に果 たす役割の重要性を認識し、各種福祉車両の開発・提供を進めており、また（社)日本自動車工業会でも９７年４月、福祉車両ＷＧを設置し、国内外の市場規模などの実態把握、パンフレットの作成・配布などの普及・広報活動や行政への提言・要望などを行っております。
　同ＷＧでは、活動の一環として福祉車両の国内販売に関する統計的把握を行い、９２年度よりの販売台数を集計しておりましたが、この度データが整ったことから、今後、年度半期ごとに集計、発表することと致しました。 　ご参考までに、本年春作成致しました福祉車両パンフレット「ともに道をひらく〜いろいろな場所に出かけよう〜」を添付致します。

概　況
　福祉車両市場は拡大傾向にあるが、特に９５年度に入り高齢者向け需要の顕在化に伴い、各社による軽自動車の本格的参入と小型市場におけるシートリフト・回転シート付車の需要増加を主な理由として同市場は毎年３０％以上の大きな伸びを見せている。

2000年度上期の販売状況（車種別の動向）
2000年度上期（4〜9月）の販売台数は、14,132台・前年同期比42.8%増加となった。

1. 軽自動車−2000年度上期は、2,821台・前年同期比78.1%の増加となり、依然として根強いニーズがある。 低価格で女性に扱いやすいということで、車いす仕様車を中心に伸びている。98年度に減少したのは、規格改定に伴う買い控えが原因となっている。
2. 小型車−2000年度上期は、10,035台・前年同期比37.4%の増加となっている。 これは、高齢者の増加により車いす仕様車を中心に順調に伸びており、さらに、シートリフトや回転シート付車が94年以降投入されたことにより需要が一層顕在化したことによる。
3. バス−2000年度上期は、1,276台・前年同期比26.5%の増加となっている。 公共輸送機関のバリアフリー化により、順調に推移している。

注）．

1. 自工会会員メーカーとして把握できる販売台数を集計したもので、ユーザーが直接架装業者に持ち込み改造したものは必ずしも集計されておりません。
2. 車種区分は、福祉車両ＷＧにて装置を基準に分類したため、道路運送車両法とは異なる。
   • 小型車には、乗用車と商用車（バンタイプ）が含まれている。
   • 小型車の「運転補助装置付車」については、実際の新車市場規模は、99年度には5,000台程度と推定される。
   • その他は、個別対応、ストレッチャー、後席回転シートなど
   • 定員11人以上をバス、定員10人以下はマイクロバス (小型車)とし、車両法区分のバスとは異なる。

以上