社会に貢献する自動車産業
クルマをつくるには、鉄鋼・ガラス・ゴム・プラスチック・電気・化学など、さまざまな種類の材料と、あらゆる分野の技術が必要です。自動車産業は、それらが集まってできた産業の山脈といえます。自動車産業は、わたしたちのくらしを便利で快適にするとともに、いろいろな仕事を生むことで、働く人たちを増やし、社会をしっかり支えています。
地下資源にめぐまれていない日本は、鉄などの資源を外国から輸入し、クルマなどの工業製品にして出荷することで、発展を続けてきました。しかし、最初から順調に発展してきたわけではありません。自動車メーカーでは、大勢の人が長年にわたりいろいろな研究を行い、快適で、人や環境にやさしい技術を次々と開発したのです。そして現在、自動車産業は日本の代表的な産業の1つとなりました。
自動車産業の発展は、他の多くの産業の発展にもつながっています。その理由は、クルマには鉄やプラスチック、ペンキなど、多くの種類の材料や部品が使われているからです。自動車部品の数を細かく分けると、2万個から3万個にもなります。その中には外国製の物も多くふくまれ、しかも年々増えています。日本の自動車産業は、国内だけでなく、世界の経済にも大きな影響をあたえています。
日本には今、6,000万人以上の働く人たちがいます。その中で自動車関連の仕事をしている人は、約9%といわれています。仕事の種類は、クルマに直接関わる仕事から、クルマを使う仕事、クルマに関係のある物をつくったり売ったりする仕事まで、本当にさまざまです。
日本の自動車メーカーは、近年、海外への進出を積極的に進め、現地に多くの工場を建設しています。工場は、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、東南アジア、中国など、世界中に広がっています。また、自動車メーカーの海外進出に合わせ、クルマの部品をつくるメーカーも海外に工場を建設しています。それらの工場で働くのは、それぞれの地域の人たちなので、日本の自動車産業は海外の経済の発展にも貢献しているといえます。
クルマが他の交通・輸送手段とちがう大きな特長の1つが、「道さえあれば、人や物をいつでもどこへでも運べる」という点です。日本では、人の輸送の70%以上、物の輸送の60%以上を自動車が受け持っています。当たり前のように利用しているクルマですが、もしもクルマがなかったら、今のような便利な社会はできていなかったでしょう。
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