ASR基準重量の算出手順の基本的な考え方
自動車リサイクル法における新型車・既販車ASR基準重量の算出手順について、乗用車を例に説明する。
1.新型車ASR基準重量の算出手順
【概要】
自動車の材料組成データを基に算出したASRとなりうる量(理論ASR重量)と破砕処理実験により求めたASR実重量に高い相関があることから、新型車ASR基準重量は材料組成データを基に算出する。
【具体的な算出手順】
(1)材料組成データから理論ASR重量を算出
自動車の材料組成データを収集し、理論ASR重量を算出する。
理論ASR重量 = 届出車両重量※1 - 事前解体部品重量※2 - 金属重量
- ※1
- 新型車の型式認定時に届け出た車両重量
- ※2
- 法第16条、規則第9条に定められた再資源化基準に従い、解体工程で適正に回収されるべきもの(タイヤ,バッテリー等)の重量
(2)理論ASR重量からASR基準重量への補正
理論ASR重量と破砕処理実験により求めたASR実重量とで求めた相関式を用いて、理論ASR重量をASR基準重量に補正する。
ASR基準重量 = 1.1407 × 理論ASR重量 - 13.869
- ※3
- 相関係数の2乗 R²=0.9788
- ※4
- 本式には、全国一律で設定した土砂・水分,後付け部品の上乗せ量を補正済み。
指定降雪寒冷地域では、破砕業者の申請により別途上乗せを行う。
架装物については、架装物の種類毎に個別に上乗せする。 - ※5
- 年間販売台数が少ない一部の輸入車については、材料組成データの整備が困難であるため既販車と同じ方法で算出する。
- ※6
- トラックは主にキャブからASRが発生するため、キャブ部分について乗用車と同様に材料組成データから算出し、キャブ以外の部分から発生するASRを別途上乗せする。
トラックASR基準重量=1.1928×理論キャブASR重量-13.333バスは販売時における仕様変更が多いことから、届出車両重量とASR基準重量との相関式により算出する。
相関係数の2乗 R²=0.9839
観光バス系ASR基準重量=0.1425×届出車両重量+15.723
相関係数の2乗 R²=0.9283
路線バス系ASR基準重量=0.0935×届出車両重量+282.08
相関係数の2乗 R²=0.8496
2.既販車ASR基準重量の算出手順
【概要】
自動車メーカ等は、過去に販売した自動車の材料組成データを収集することが困難であるため、ASR基準重量と届出車両重 量との相関式により算出する。
- ※7
- ここ数年販売した自動車のASR実重量と届出車両重量の相関があることを確認した。
'86年~'01年の間の自動車原材料構成比を調査した結果、金属と非金属の構成比にほとんど変化が無いことから、既販車全てに相関を適用可能。
【具体的な算出手順】
(1)既販車データの収集
国土交通省等から得られる既販車データより、車台番号毎に届出車両重量を特定する。
(2)届出車両重量を基にASR基準重量を算出
届出車両重量とASR実重量との相関が高いことから、既販車のASR基準重量は届出車両重量を相関式に代入し求める。
<4ナンバー車とフレーム車>
ASR基準重量 = 0.1086 × 届出車両重量 + 14.776
- ※8
- 相関係数の2乗 R²=0.8465
<その他の乗用車全て>
ASR基準重量 = 0.1819 × 届出車両重量 - 11.078
- ※9
- 相関係数の2乗 R²=0.8286
- ※10
- 本式には、全国一律で設定した土砂・水分,後付け部品の上乗せ量を補正済み。
指定降雪寒冷地域では、破砕業者の申請により別途上乗せを行う。
既販車は車両に搭載されている架装物の特定が出来ないため、全ての車両に一律の架装物ASR重量を上乗せする。 - ※11
- トラックは主にキャブからASRが発生するが、キャブだけの重量を既販車データから明確にできないため、キャブサイズ毎に一律の重量を設定した。
キャブ大:242.7kg ,キャブ中:177.2kg ,キャブ小:115.4kg
更に、キャブ以外の部分から発生するASRを別途上乗せする。
バスの既販車ASR基準重量算出相関式
バス系ASR基準重量=0.1277×届出車両重量+90.651
相関係数の2乗 R²=0.8762