I.四輪車
1.四輪車総需要の動向
1) 97年度の四輪車総需要は 6,330千台・前年度比 86.9%になるものと推定される。
これは、
4月の消費税率改訂に伴う駆け込みの反落が発生した
9兆円の国民負担増により実質購買力が減少し、個人消費や住宅投資が落ち込んだ
財政再建に伴い公共投資が抑制され、建設関連業種を中心に業況が悪化した
アジア経済の混乱や、金融機関の破綻等から、先行き不透明感が高まったこと等、市場をとりまく経済環境が足踏み状態を続けたことによる。
2) 98年度については、
年度前半は金融不安等から先行き不透明感が残り、また、在庫調整により鉱工業生産の伸びが鈍化する
アジア経済の混乱の影響により輸出の伸びが鈍化する
財政構造改革による公共事業費の削減から、公共投資の減少が続くこと等のマイナス要因が見込まれるものの、
昨秋から打ち出されてきた経済対策や金融支援策が景気の下支えとなる
国民負担増の影響の一巡や2兆円減税等により、実質可処分所得の伸びが高まり、年度後半には個人消費が回復に転じる
97年度にみられた購入延期による繰り延べ需要が期待できること等により、6,770千台・前年度比 107.0%と見込まれる。
予測の前提とした「経済見通し(主要指標)」
|
1997年度 |
1998年度 |
・実質GDP |
0.1% |
1.2% |
・民間最終消費 |
-0.4 |
2.0 |
・民間設備投資 |
3.0 |
2.1 |
・卸売物価 |
1.5 |
-0.2 |
・消費者物価 |
2.1 |
0.3 |
・鉱工業生産 |
2.4 |
0.8 |
2.普通・小型四輪乗用車
1) 97年度の普通・小型四輪乗用車需要は 3,332千台・前年度比 85.9%になるものと推定される。
これは、
4月の消費税率改訂に伴う駆け込みの反落が発生した
9兆円の国民負担増により、実質購買力の伸びが大幅に鈍化した
卸売業や建設業の業況悪化や、金融機関の破綻等から、消費マインドが冷え込んだこと等による
2) 98年度については、
年度前半は在庫調整に伴い、所得や雇用の伸び鈍化が懸念される
また、金融システム不安等から先行き不透明感が残り、消費マインド回復の足枷となること等、マイナス要因が見込まれるものの、
2兆円の特別減税や金融安定化策等の経済対策が景気の下支えとなる
国民負担増の影響が一巡し、実質購買力が高まり、年度後半には消費マインドの回復が期待される
97年度の購入延期による繰り延べ需要が期待できること等のプラス要因があることから、 3,646千台・前年度比 109.4%と見込まれる
3.軽四輪乗用車
1) 97年度の軽四輪乗用車需要は 885千台・前年度比 90.8%になるものと推定される。
これは、
消費税引上げをはじめ、国民負担の増加による影響が大きかった
93年以降相次いだ新型車投入効果が弱まったこと等による
2) 98年度については、
普通・小型四輪乗用車と同様の経済環境見通しに加えて、10月以降には、新規格車の投入効果も期待されること等から、 945千台・前年度比 106.8%と見込まれる
4.普通トラック
1) 97年度の普通トラック需要は134千台・前年度比 76.5%になるものと推定される。これは、公共投資や住宅投資の大幅減等により建設用を中心に需要が減退したこと等による
2) 98年度については、
公共投資の減少により引き続き建設用需要の低迷が懸念されるものの、
7〜8月期以降は在庫調整の一巡に伴い生産活動が持ち直し、カーゴ用需要が増加に転ずること等から、138千台・前年度比 103.0%と見込まれる
5.小型四輪トラック
1) 97年度の小型四輪トラック需要は 1,298千台・前年度比 87.0%になるものと推定される
これは、
トラック・バンタイプは、住宅投資や公共投資の大幅減から需要が落ち込んだ
RV系は、セミキャブワゴン等新型車の投入効果に支えられたが、年度後半は景況悪化による消費マインドの冷え込み等から需要が落ち込んだこと等による
2) 98年度については、
景気回復から生産活動が上向き、トラック・バンタイプ需要の回復が期待される
RV系については、新型車の投入効果が徐々に弱まるものの、個人消費の回復により需要増が見込まれること等により、1,350千台・前年度比 104.0%と見込まれる
6.軽四輪トラック
1) 97年度の軽四輪トラック需要は 665千台・前年度比 88.5%になるものと推定される。
これは、4月以降の内需低迷により、中小零細企業の業況が悪化したことによる。
2) 98年度については、年度前半は中小零細企業の景況感の回復に手間取るとみられるが、後半には個人消費の回復等により生産活動の持ち直しが見込まれること等から、675千台・前年度比101.5%と見込まれる。
7.大型バス
1) 97年度の大型バス需要は 5.5千台・前年度比 90.5%になるものと推定される。
2) 98年度については、自家用、路線系とも安定した代替需要母体があり、それらが徐々に顕在化すると期待されること等により、5.5千台・前年度比 100.0%と見込まれる。
8.小型バス
1) 97年度の小型バス需要は 10.1千台・前年度比89.7%になるものと推定される。
2) 98年度については、サービス業関連の需要がゆるやかな回復が見込まれること等により、10.5 千台・前年度比 104.0%と見込まれる。
二輪車の国内需要見通し
表1 1998年度(平成10年度) 自動車国内需要見通し |