自工会リリース


使用済み自動車搭載エアバッグ・インフレータの回収・処理実証実験事業について

平成11年7月12日

(社)日本自動車工業会は、(社)日本自動車部品工業会と共同で、自動車流通、整備業界等のの協力を得て、使用済み自動車に搭載されている未作動エアバッグ・インフレータ*1(ガス発生装置)の回収・処理システムを構築し、本年10月頃より向こう2年間の実証実験事業を開始する。

エアバッグ装置は、その構造、性能等から、使用済み時の適正な処理が必要と考えられており、以前にも通産省などから関係者に対し適正処理並びに処理の容易性向上についての要請があったほか、平成9年に同省が発表した「使用済み自動車リサイクルイニシアティブ」*2 においても 同様の措置が求められている。

本事業は、製造事業者による、使用済み自動車の適正処理に向けた支援活動の一環として実施され、未作動インフレータをシュレッダ工程*3で破砕することなく、個別に効率よく安全に処理することを狙いとしている。 具体的には、自工会内に設置した「エアバッグ・インフレータ回収・処理登録センター」*4に登録した事業者が解体・除去した運転席、助手席のエアバッグ・インフレータを、既存の排ガス用触媒の回収ネットワーク(当面全国21拠点)を活用して回収し、2箇所の特定処理施設に持込み集中的に作動処理するものである。

自工会・部工会では、システム稼動後の2年間を実証期間と位置付け、その間にシステムの実効性を検証すると同時に、全国の使用済み自動車処理事業者に対し、システムへの参加並びに将来の実稼動に備えた廃棄物処理法上必要とされる業の許可取得を呼びかけるなど、事業推進についての理解促進活動を行なう。

なお、実証実験期間中のシステム運営費用*5は、自工会・部工会が負担する。

自動車業界では、これまで、エアバッグを車上搭載のまま作動処理する方法を有効と考え、「作動処理マニュアル」を全国の関連事業者に配布*6し、その普及を図ってきた他、世界に先駆けてガス発生剤を従来のアジ化ナトリウムから無害な薬剤へ転換*7するなど、エアバッグ処理の容易性向上に取り組んできたが、今回新しいシステムが加わることにより、作動時の騒音等の障害により車上作動処理が困難であった処理事業者においても処理が可能になるなど、適正処理の促進に期待している。


  1. 現在使用されているエアバッグの多くは、装置が衝突時の衝撃を感知した際、インフレータに密封したガス発生剤に点火、燃焼して得られるガスでハンドルやダッシュボードに装着したバッグを瞬時に膨張させ、乗員を保護する仕組みとなっている。 インフレータそのものが、加熱、衝撃等で作動する可能性があること、あるいは、これまで使用されてきたガス発生剤が有毒性であること等から、処理に際しては特別の配慮が必要と考えられている。
  2. 通産省が、産構審廃自動車処理・再資源化小委員会の意見を受けて発表した、使用済み自動車処理に関わる政策パッケージ。リサイクル目標、有害物質削減目標等の数値目標と、ユーザー、政府を含む関係者の役割が示されている。
  3. シュレッダーマシンにより、廃車のボディー等を破砕し鉄スクラップなど金属を回収する工程。
  4. センターでは、インフレータ回収処理事業の推進、登録業者・委託回収・処理業者への回収事業に必要な機器の貸与、運搬・処理に関する記録の管理および統計の整備、関係業界への理解促進活動等を実施する。
  5. インフレータの回収・運搬・処理費用、センター運営費等
  6. 平成7年、8年にそれぞれ約13万部を販売事業者、整備事業者、解体事業者等へ配布した。
  7. 平成10年末時点で、新車搭載エアバッグの98%以上が非アジ化ガス発生剤を使用。

<添付資料>
1. エアバッグ処理システムのフローと関係者の役割
2.エアバッグの年間廃棄個数(推定)
3.委託先処理施設概要
4. エアバッグ回収・処理登録センターの概要について

<参考資料>
・ エアバック・インフレーター回収・処理システム

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