地球環境を守るための対策
自動車メーカーの環境への取り組みには、「環境にやさしいクルマの開発」と「クルマの部品のリサイクル」という大きなテーマがあります。環境にやさしいクルマの開発では、地球を汚さない技術や省エネルギーのための技術を開発しています。また、クルマのリサイクルでは、鉄などの原料を繰り返し使えるようにするために、原料別のリサイクルを進めています。
大気中のCO2(二酸化炭素)が増えて、地球の温暖化が進んでいます。大切な石油をなるべく使わないようにすれば、温暖化の進行を抑えることができます。自動車メーカーから、省エネルギーを実現するいろいろな技術が生まれています。
工場やクルマからの排出ガスにふくまれる成分が、大気を汚す原因となります。日本のクルマは、世界でいちばんきびしい排出ガスの規制を守っていますが、さらに排出ガスの少ない、世界でもトップクラスのクリーンな自動車をつくるため、研究・開発を重ねています。
かつてカーエアコンに使われていたフロンというガスは、地球の温暖化やオゾン層の破壊の原因となるため、クルマを処分するときは、フロンは回収・処理されています。現在生産されているクルマのカーエアコンには、フロンに代わる物質が使われています。
クルマが軽ければ、それを動かすエネルギーも少なくて済みます。自動車メーカーでは、[1]鉄よりも軽い金属材料を使う、[2]鉄の代わりになるプラスチック部品を使う、[3]車体や部品を軽くするなど、安全性をたもちながら、エネルギーが節約できるようにしています。
走るときに空気抵抗が多いと、それだけエネルギーをたくさん使うことになります。そこで、空気抵抗をなるべく少なくするために、空気の抵抗を受けにくい丸みのあるデザインにしています。
1リットルのガソリンで何キロメートル走るかを計る単位を「燃費」といいます。自動車メーカーは、これまでより、少ないエネルギーでクルマを長く走らせることができる、燃費のよい新しい構造のエンジンの開発や普及を進めています。
ガソリンエンジンでは、排出するガスの量を少なくするとともに、一酸化炭素などの有害成分を分解するため、浄化装置を取り付けています。また、ディーゼルエンジンでは、黒煙対策として電子制御システムや浄化装置を取り付けています。
大きな工場棟が連なる自動車工場にとって、環境への取り組みはたいへん大きな課題です。自動車業界では、工場生産の工程において、CO2の排出を抑えたり、電力や燃料などのエネルギー使用量を減らす取り組みをしています。
自動車の部品のリサイクル率は高い水準にあります。これをさらに向上させるには、設計をする段階からリサイクルを考えたクルマづくりが必要です。そこで、[1]リサイクルできる材料をなるべく多く使う、[2]リサイクルする部品が簡単に取りはずせるように設計する、[3]リサイクルしやすいように材料ごとに原料の種類がわかるようマークを付けるなど、いろいろな工夫がなされています。
日本では、年間数百万台の使用済み自動車が発生しています。このうち、重量比で約96%がリサイクルされていて、これは自動車以外の製品とくらべて、高い水準にあるといえます。使える部品は取りはずし、再利用します。鉄などの金属類は溶かしたりしてから、素材としてリサイクルします。
自動車業界では、二輪車のリサイクルも積極的に進められています。たとえば、捨てられている二輪車について、都道府県や市町村などから依頼があれば、リサイクル施設に運び、使える部品を再利用できるようにしています。
|