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メーカーでは、排出ガスや騒音の規制に適合させるとともに、エンジンの信頼性、耐久性、燃費などの実用性を高いレベルで満足させることを目標に技術開発を進めています。 図Aのように国の排出ガス規制は順次強化されてきました。 メーカーではそれに対応するため、既存の排ガス低減装置の改善や新しい装置の追加装着とともに、燃料噴射系、エンジン燃焼室、排気系、それらを統括する電子制御システム系などエンジン全体の技術改善で排出ガスの低減を実現してきました(図B,表A)。
従いまして、古い規制に対応しているエンジンのNOxとPMを低減するためには、車種によっても対応は異なりますが基本的には表Aの技術をすべて追加採用することが必要になります。
例えば、EGRを単体で装着しても車種規制の規制値までNOxを低減できません。 また、単にEGRだけを装着するとシリンダーライナー、ピストンリング、バルブなどの摩耗が加速され、エンジン全体の耐久性や信頼性を損なうことにもなります。
なお、DPFによるPM低減や、尿素触媒によるNOx低減は効果が極めて高い有力な技術であり、メーカーとしても開発に全力をあげていますが、現時点ではすべての条件下で実用的に確立している技術ではありません。 また、それぞれの装置の装着に際しては燃料系、燃焼系、排気系、電子制御系など多面的な技術変更が必要になります。
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図A. 規制値(平均値)の推移(車両総重量2.5トン超の直噴式ディーゼル車)
※. 車両総重量3.5トン超の大型トラック・バスの車種規制値 |
採用技術 |
NOx低減 |
PM低減 |
EGRおよび装置の装着に伴う、吸気・排気系の変更 |
○ |
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高圧噴射(コモンレール、高圧噴射ポンプ、可変噴射ポンプおよび装置搭載に伴うシリンダーブロック、シリンダーヘッド、フライホイールハウジング、歯車機構の強化などの変更) |
○ |
○ |
多弁化(2弁→4弁)、OHVをOHC化(シリンダーブロック、シリンダーヘッド、駆動ギアの配置変更、フライホイールハウジングなどの変更) |
○ |
○ |
電子制御化(ECU,センサー、アクチュエーター、ハーネス) |
○ |
○ |
排気量アップ(シリンダーブロック、シリンダーヘッド、ライナー、ピストン、ピストンリングなどの変更) |
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○ |
新型燃焼室(シリンダーヘッド、ピストンなど) |
○ |
○ |
酸化触媒 |
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(注)車両によって採用技術は異なる
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図B. H9,10,11年規制で採用している主な排出ガス低減技術
(注)車両によって採用技術は異なる |
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